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けつしよく
主人は
予想通り
血色の
好い
下膨の
福相を
具へてゐたが、
御米の
云つた
樣に
髭のない
男ではなかつた。
鼻の
下に
短かく
刈り
込んだのを
生やして、たゞ
頬から
腮を
奇麗に
蒼くしてゐた。
で、腕の
血色を見ても、
濁が
除れて、若い血が
溌溂として
躍ツてゐるかと思はれる。
「さあ、もう
時間よ」と
注意したとき、
彼は
此點滴の
音を
聞きながら、もう
少し
暖かい
蒲團の
中に
温もつてゐたかつた。けれども
血色の
可くない
御米の、
甲斐々々しい
姿を
見るや
否や