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けうじやう
殊に
歳暮の夜景の如き
橋上を往来する車の
灯は沿岸の
燈火と相乱れて
徹宵水の上に
揺き動く
有様銀座街頭の
燈火より
遥に美麗である。
雲飛は石を
奪はれて
落膽し、其後は
家に
閉籠つて外出しなかつたが、
石が
河に
落て
行衞不明になつたことを
傳へ
聞き、
或朝早く家を出で石の
落ちた
跡を
弔ふべく
橋上に
立て下を見ると、
河水清徹
表町とて
横町とて
同じ
教塲におし
並べば
朋輩に
變りは
無き
筈を、をかしき
分け
隔てと
常日頃意地を
持ち、
我れは
女の、とても
敵ひがたき
弱味をば
付目にして、まつりの
夜の
處爲はいかなる
卑怯ぞや