“かけぬ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
駈抜58.3%
駈拔16.7%
駈脱8.3%
馳抜8.3%
駆脱8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あるときなど夕暮れ近くなって矢も尽きかけた二人が——二人の馬は供の者をはるかに駈抜かけぬいていたので——一群の狼に囲まれたことがある。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
駈拔かけぬく「時」をやらじとばかり、齒にて引留ひきとゞむ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
あ、たッ、何でい、わーい、という声が譟然がやがやと入違って、友達は皆道草を喰っている中を、私一人は駈脱かけぬけるようにして側視わきみもせずに切々せっせと帰って来る。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あとからパタパタと追蒐おっかけて来るのは、雪江さんにきまってる。玄関で追付おっついて、何を如何どうするのだか、キャッキャッと騒ぐ。松がかなわなくなって、私の部屋の前を駈脱かけぬけて台所へ逃込む。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
或は笑いさざめきながら、或は高く小手をかざしながら、ぽかんと佇立つったった鷺太郎の前を馳抜かけぬける時の、美少女の群の中からは、確かに磯の香ではない、甘い、仄かな、乙女のかおりが
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
七八間先けんさききざみに渋蛇しぶじゃよこを、一文字もんじ駆脱かけぬけたのもつか、やがてくびすかえすと、おにくびでもったように、よろこいさんでもどった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)