知識ちしき)” の例文
『あんな名僧めいそう知識ちしきうたわれたかたがまだこんな薄暗うすぐら境涯ところるのかしら……。』時々ときどき意外いがいかんずるような場合ばあいもあるのでございます。
きみたちのいうことは、よくわかった。一ぽうは、理科りか知識ちしきるためだというのだし、一ぽうはかわいそうだからたすけるというのだ。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我々われわれまちはなし面白おもしろい、知識ちしきのある人間にんげん皆無かいむなのは、じつ遺憾いかんなことじゃありませんか。これは我々われわれっておおいなる不幸ふこうです。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
かういふふうにしてわが地球ちきゆう知識ちしきはだん/\すゝんでたけれども、其内部そのないぶ成立なりたちに立入たちいつた知識ちしき毛頭もうとうすゝんでゐないといつてよろしかつた。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
專門上せんもんじやう知識ちしきのない小六ころくが、精密せいみつ返答へんたふをしはず無論むろんなかつた。かれはたゞ安之助やすのすけからいたまゝを、おぼえてゐるかぎねんれて説明せつめいした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ゆめ五臟ござうのわづらひといひつたふれども正夢しやうむにして賢人けんじん聖人せいじん或は名僧めいそう知識ちしきの人をむは天竺てんぢく唐土もろこし我朝わがてうともにそのためすくなからずすで玄奘法師げんさうほふしは夢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これを知識ちしきうへあそびといひます。それとゝもに、氣分きぶんすこしもともなはないのですから、散文的さんぶんてきうたといはねばなりません。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「別れてからもう幾年いくねんになるかなあ、しかし君も落ち着いて結構だ。今に立派なお知識ちしきさんになるだろうよ」と父は鷹揚おうようにかつからかい半分に言った。
わたしせま知識ちしき範圍はんいでは、戯曲ぎきよく球突たまつきたまひゞきなどをもちゐたのはひとりチエエホフあるのみのやうである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おほきい博物館はくぶつかんをつくることはかねさへあれば容易よういでありますが、博物館はくぶつかんをつくることは金以外かねいがいさら知識ちしき必要ひつようでありますから、餘程よほど困難こんなんなことになります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「然うさ、五十百歩ひやくぽさ」と、友は感慨かんがいへないといふふうで、「少許すこしめて、少許知識ちしきおほいといふばかり、大躰だいたいおいて餘りたいした變りはありやしない。 ...
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なによりもその知識ちしきに、たいした尊敬をもつようになりました。ですから、またいっしょにダンスしたとき、王女は、すっかり影が好きになってしまいました。
A 葉書はがきくわんするきみ知識ちしき非常ひじやう豐富ほうふだね。をんなはなしばかりが專門せんもんかと思つたら、葉書はがきの話も專門せんもんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
そうして、ほんをよむだけでなく、じっさいに自分じぶんでやってみて、あたらしい知識ちしきにつけ、なかやくだつ学問がくもんをすすめようと、勉強べんきょうにうちこんでいるのでした。
医師の標札ひょうさつの出ているドアのびりんをおせば、知識ちしきがあり慈愛じさい深い人にかならず会うことができる。
そのごうまいな日本魂にっぽんだましいと、強烈きょうれつな研究心は、かれに航海上の大胆だいたん知識ちしきをあたえた。十四人の少年が、かれをこのサクラ号の指揮者しきしゃとなしたのも、これがためである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
大至急だいしきゅうあのお医者いしゃさんをあらおうじやないか。なにるよ。すぐとなりにんでいるのだ。しかも医者いしゃだ。毒物どくぶつ知識ちしきもあるはずだし、青酸加里せいさんかりだつて入手にゅうしゅできるのだろう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
親のもつ経済力を転用して、子の有する知識ちしき能力のうりょくを軽視せんとする事は不条理ふじょうりである。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
は固よりコロボックル中に斯く斯くの職業しよくげふり、何々の專門せんもんり抔との事は主張しゆちやうせざれど、上來述べきたりし程の知識ちしき有る人民中じんみんちうには多少の分業は存せざるを得ずと思考しこうするなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
一向いつかう變則へんそく名所めいしよいて、知識ちしき經驗けいけんかつたかれは、次第しだいくらり、愈々いよ/\ふかくなり、ものすさまじくつて、ゆすぶれ/\轟然ぐわうぜんたる大音響だいおんきやうはつして、汽車きしや天窓あたまから、にぶきりへんじて
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ヒポコンデリアれいかなるやまいぞ。虚弱きよじやくなるひとのみこれむべきか、健全けんぜんなるひとこれあたはざるか、無學むがくこれまずかへつて學問がくもんこれ引由いんゆうし、無知むちこれまず、知識ちしきあるものこれことおほし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
これは学者も名僧めいそう知識ちしきも、いまだ容易に断定を下しえない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
我々われ/\まちはなし面白おもしろい、知識ちしきのある人間にんげん皆無かいむなのは、じつ遺憾ゐかんなことぢやりませんか。これ我々われ/\つておほいなる不幸ふかうです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
下男げなんは、りについては、あまり知識ちしきがなかったものですから、そうきくとよろこびました。そして、いけをさがしてあるきました。
北の国のはなし (新字新仮名) / 小川未明(著)
それより以上いじやうくちくには、あまぜんといふものゝ知識ちしきとぼしかつたので、だまつてまた宜道ぎだうれられて一窓庵いつさうあんかへつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
著者ちよしやむしろかような場合ばあひ利用りようして、地震ぢしんたいする實驗的じつけんてき知識ちしき修養しゆうようまれるよう希望きぼうするものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
私達わたしたち知識ちしきひろ學問がくもんためになる品物しなもの千差萬別せんさばんべつで、その種類しゆるいじつ無限むげんおほいのでありますから、これをみんなひとつの場所ばしよあつめて陳列ちんれつすることは容易よういでありませんし
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わたしはなしは、短歌たんかのみならず、日本につぽんうた大凡おほよそわたつて、知識ちしきをおけしたいとおもふのですから、こんなことから、はじめたわけです。それで一口ひとくちだけ、旋頭歌せどうかについてまをしませう。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
またわたしの所有しょゆうする知識ちしきにたいしても——まあ、そうとうたかい今の身分やきょうぐうのことは申しますまいが——どうかおまえよばわりだけは、やめていただきたいものですな。
幽界ゆうかいおいても矢張やは知識ちしき必要ひつようはあるので、現世げんせおなじように書物しょもつませたり、また小供こどもには小供こども友達ともだちもなければならぬので、その取持とりもちをしてやったり、精神統一せいしんとういつ修行しゅぎょうをさせたり
ああ思慮しりょ知識ちしき解悟かいご哲学者てつがくしゃ自若じじゃく、それいずくにかると、かれはひたすらにおもうて、じて、みずか赤面せきめんする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それわしごふふかくてさとれないのだとつて、毎朝まいてうかはやむかつて禮拜らいはいされたくらゐでありましたが、のちにはあのやうな知識ちしきになられました。これなどもつとれいです
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
著者ちよしや少年諸君しようねんしよくんむかつて、地震學ぢしんがくすゝんだ知識ちしき紹介しようかいしようとするものでない。またたとひ卑近ひきん部分ぶぶんでも、震災防止しんさいぼうし目的もくてき直接ちよくせつ關係かんけいのないものまでろんじようとするのでもない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
さうでないとわれ/\は博物館はくぶつかん知識ちしきひろ勉強べんきようすることが工合ぐあひよくまゐりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
乞食こじきは、境遇きょうぐう貧乏びんぼうをしましたけれど、りこうで正直しょうじき人間にんげんでありましたから、四ほうから、あらゆる方面ほうめん知識ちしきがあり、勤勉きんべんはたらひとたちをあつめて、まちあたらしくつくりはじめたのであります。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
アンドレイ、エヒミチは知識ちしき廉直れんちょくとをすこぶこのみかつあいしていたのであるが、さてかれ自分じぶん周囲まわりにはそう生活せいかつもうけることは到底とうてい出来できぬのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
だれよりも知識ちしきがふかかったからです。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あゝ思慮しりよ知識ちしき解悟かいご哲學者てつがくしや自若じゝやくいづくにかると、かれ只管ひたすらおもふて、ぢて、みづか赤面せきめんする。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なかには人間にんげん知識ちしき高尚こうしやう現象げんしやうほかには、ひとつとして意味いみのある、興味きようみのあるものはいのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)