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黒衣
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くろご
ふりがな文庫
“
黒衣
(
くろご
)” の例文
ひとりの男の目まぜに働く四、五人の
黒衣
(
くろご
)
、それは
正
(
まさ
)
しく、徳川万太郎を暗殺することの
籖
(
くじ
)
を引きあてた、
雲霧
(
くもきり
)
の
仁三
(
にざ
)
の一組です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実際、劇場側でもそう言っていた。つまりは、
黒衣
(
くろご
)
をかぶって、何年か楽屋の飯を食わなければ、芝居というものは書けないように言い伝えられていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「それから、あの舞臺には後見人がゐるかゐないか、——
黒衣
(
くろご
)
を着る人間がゐるかゐないかそれを聽くんだ」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
再び軽い
拍子木
(
ひやうしぎ
)
の
音
(
おと
)
を
合図
(
あひづ
)
に、
黒衣
(
くろご
)
の男が右手の
隅
(
すみ
)
に立てた
書割
(
かきわり
)
の一部を
引取
(
ひきと
)
ると
裃
(
かみしも
)
を着た
浄瑠璃語
(
じやうるりかたり
)
三人、
三味線弾
(
しやみせんひき
)
二人
(
ふたり
)
が、
窮屈
(
きうくつ
)
さうに
狭
(
せま
)
い台の上に
並
(
なら
)
んで
居
(
ゐ
)
て
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そうしてから、復讐を兼ねて、いずれ追及してくる、一味の者を順ぐりに殺していったのだ。三伝は
黒衣
(
くろご
)
で、君は立役者だ。サア、ここで、君に三伝の
在所
(
ありか
)
を教えてもらおう。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
璃昇は数年後勢州蟹江村に於て農家へ侵入その家の女を姦したが、璃昇犯行当夜の装束が
黒衣
(
くろご
)
であつたことが発覚の端緒となつて直ちに捕縛、小菅監獄へとおくられてしまつたのである。
異版 浅草灯籠
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
窓の下へ寄っていた三人の
黒衣
(
くろご
)
、四ツ目屋の新助、お人よしの率八、雲霧の
仁三
(
にざ
)
を取り囲んで、追っ馳け追ン廻す物音の様子であります。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それから、あの舞台には後見人がいるかいないか、——
黒衣
(
くろご
)
を着る人間がいるかいないかそれを聴くんだ」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黒衣
(
くろご
)
をかぶり、拍子木を打ち、稽古をつけ、書抜きをかき、ここに幾年かの修業を積んだ上でなければ、いわゆる“
舞台
(
いた
)
に乗る”劇は書けないものであると決められていた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その頃、幾年となく、
黒衣
(
くろご
)
の帯に
金槌
(
かなづち
)
をさし、オペラ館の舞台に背景の飾附をしていた年の頃は五十前後の親方がいた。眼の細い、
身丈
(
せい
)
の低くからぬ、丈夫そうな爺さんであった。
草紅葉
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そして自ら先に、黒頭巾を脱ぎすて
黒衣
(
くろご
)
を解いて振り落とすと、下は常着のおはぐろ
紬
(
つむぎ
)
に
鶯茶
(
うぐいすちゃ
)
の
博多
(
はかた
)
かなんぞと見られる平帯。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒衣
(
くろご
)
の男が右手の隅に立てた書割の一部を引取ると
裃
(
かみしも
)
を着た
浄瑠璃語
(
じょうるりかたり
)
三人、
三味線弾
(
しゃみせんひき
)
二人が、窮屈そうに狭い台の上に並んでいて、
直
(
す
)
ぐに
弾出
(
ひきだ
)
す三味線からつづいて
太夫
(
たゆう
)
が声を
合
(
あわ
)
してかたり出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「その通りさ、俺はそれを知りたかつたんだよ。それから
黒衣
(
くろご
)
は」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
するどい眼をもって、覆面をして、
黒衣
(
くろご
)
に身をつつんで、そして、二本の
塗鞘
(
ぬりざや
)
を長やかに、うしろへ、
刎
(
は
)
ね上げて飛ぶ。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その通りさ、俺はそれを知りたかったんだよ。それから
黒衣
(
くろご
)
は」
銭形平次捕物控:118 吹矢の紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あっと、思わず首を
竦
(
すく
)
めたせつなに、
黒衣
(
くろご
)
の武士が、足をあげて、鉄板のように重い
花梨
(
かりん
)
の大卓を蹴たおしたので、東儀与力はその下に押しつぶされて
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「唖聾は、何者かにあやつられている手先とわしは
観
(
み
)
る。張本人は、その折、先へ行った
黒衣
(
くろご
)
の侍だった」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここの自身番から一町半ほど先の路傍に、たれが脱ぎ捨てた物か、極めて
薄布地
(
うすぬのじ
)
を用いた
黒衣
(
くろご
)
の小袖に、黒頭巾、黒の
膝行袴
(
たっつけ
)
などが、ひとまとめにして、捨ててあった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ、生き残った召使のことばでは、五人組の五人がすべて一様の
黒衣
(
くろご
)
を着こみ、もちろん覆面もし、刀の
目貫
(
めぬき
)
を見覚えられないためか、大小の柄まで黒布で巻いていたという。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黒衣
(
くろご
)
黒覆面の賊のひとりは、自身番の明りの下にひきすえてみると、何と、年頃三十二、三の、抜けるばかり色の白い、そして眼に張りをもった、見るからに凄艶な年増女であった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“黒衣”の解説
黒衣(くろご)は、歌舞伎や人形浄瑠璃で、観客からは見えないという約束事のもとに舞台上に現われ、後見として役者や人形遣いを助けたり、小道具を役者に渡したり舞台から下げたりする係。また彼らが着用する黒づくめの特殊な衣装のこと。黒具(くろぐ)ともいう。
黒子(くろこ)ともいうが、「黒子」は当て字、「くろこ」は訛読で、どちらも正しくはないものが慣用化して一般に定着してしまったものである(本来は「黒子」と書いて「ほくろ」と読む)。
(出典:Wikipedia)
黒
常用漢字
小2
部首:⿊
11画
衣
常用漢字
小4
部首:⾐
6画
“黒衣”で始まる語句
黒衣素足
黒衣聖母
黒衣覆面
黒衣長袍