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鵯越
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ひよどりごえ
ふりがな文庫
“
鵯越
(
ひよどりごえ
)” の例文
「右手は
崖
(
がけ
)
——こいつは
鵯越
(
ひよどりごえ
)
だ。越して越せないことはあるまいが、
藪
(
やぶ
)
がひどいから犬が潜っても大きな音がする。まず夜中に忍び込む工夫はないな」
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ここにおいてかせっかく降りようと
企
(
くわだ
)
てた者が変化して落ちる事になる。この通り
鵯越
(
ひよどりごえ
)
はむずかしい。猫のうちでこの芸が出来る者は恐らく吾輩のみであろう。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何を
怒
(
いか
)
るや
怒
(
いか
)
り
猪
(
い
)
の——
俄
(
にわか
)
に
激
(
げき
)
する数千
騎
(
き
)
」
突如
(
とつじょ
)
として山
崩
(
くず
)
れ落つ
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の
逆落
(
さかおと
)
し、
四絃
(
しげん
)
を
奔
(
はし
)
る
撥音
(
ばちおと
)
急雨
(
きゅうう
)
の如く、
呀
(
あっ
)
と思う間もなく身は
悲壮
(
ひそう
)
渦中
(
かちゅう
)
に
捲
(
ま
)
きこまれた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
一方、大将軍九郎御曹司義経は、七日の明方、三千余騎で
鵯越
(
ひよどりごえ
)
にのぼり、人馬を休ませていたが、その騒ぎに驚いたか、
牡鹿
(
おじか
)
二匹、
牝鹿
(
めじか
)
一匹が平家の城の一の谷へ逃げ下りた。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
虹の目玉だ、やあ、八千年
生延
(
いきの
)
びろ、と
逆落
(
さかおと
)
しの
廂
(
ひさし
)
はづれ、
鵯越
(
ひよどりごえ
)
を
遣
(
や
)
つたがよ、
生命
(
いのち
)
がけの仕事と思へ。
鳶
(
とび
)
なら
油揚
(
あぶらげ
)
も
攫
(
さら
)
はうが、人間の手に持つたまゝを
引手繰
(
ひったぐ
)
る段は、お互に
得手
(
えて
)
でない。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
銭形平次と八五郎を真っ先に、多勢の者が
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の逆落しほどの勢いで、一団となって五重の塔の外へ出た時は、あたりはもう雀色にたそがれておりました。
銭形平次捕物控:227 怪盗系図
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「鷲尾の三郎案内致せ。
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の逆落しと遣れ。
裏階子
(
うらばしご
)
から便所だ、便所だ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それが間違ってる。君等は義経が
鵯越
(
ひよどりごえ
)
を
落
(
お
)
としたことだけを心得て、義経でさえ下を向いて下りるのだから猫なんぞは無論
下
(
し
)
た向きでたくさんだと思うのだろう。そう
軽蔑
(
けいべつ
)
するものではない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この山の手とは一の谷の後の
鵯越
(
ひよどりごえ
)
の
麓
(
ふもと
)
を指すのである。
現代語訳 平家物語:09 第九巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
虹の目玉だ、やあ、八千年生延びろ、と
逆落
(
さかおと
)
しの
廂
(
ひさし
)
のはずれ、
鵯越
(
ひよどりごえ
)
を遣ったがよ、
生命
(
いのち
)
がけの仕事と思え。
鳶
(
とび
)
なら
油揚
(
あぶらあげ
)
も
攫
(
さら
)
おうが、人間の手に持ったままを
引手繰
(
ひったぐ
)
る段は、お互に得手でない。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鵯
漢検1級
部首:⿃
19画
越
常用漢字
中学
部首:⾛
12画
“鵯”で始まる語句
鵯
鵯鳥
鵯笛
鵯花