鬼百合おにゆり)” の例文
斜めに見た造花屋ぞうかやの飾り窓。造花は皆竹籠だの、瀬戸物の鉢だのの中に開いている。中でも一番大きいのは左にある鬼百合おにゆりの花。飾り窓の板硝子ガラスは少年の上半身を映しはじめる。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
門までわずか三四けん左手ゆんでほこらの前を一坪ばかり花壇にして、松葉牡丹まつばぼたん鬼百合おにゆり夏菊なつぎくなど雑植まぜうえの繁った中に、向日葵ひまわりの花は高くはすの葉のごと押被おっかぶさって、何時いつにか星は隠れた。
星あかり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鬼百合おにゆり 七一・五〇 四・五〇 〇・二〇 二一・七〇 一・〇〇 一・一〇
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
もんまでわづか三四けん左手ゆんでほこらまへ一坪ひとつぼばかり花壇くわだんにして、松葉牡丹まつばぼたん鬼百合おにゆり夏菊なつぎくなど雜植まぜうゑしげつたなかに、向日葵ひまはりはなたかはすごと押被おつかぶさつて、何時いつにかほしかくれた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見つゝ思はず悚然ぞつとして、いしくも咲いたり、可愛かはゆき花、あざみ鬼百合おにゆりたけくんば、我がことばに憤りもせめ、姿形のしをらしさにつけ、汝優しき心より、百年もゝとせよはひを捧げて、一朝の盛を見するならずや
草あやめ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)