)” の例文
旧字:
神経性の痙攣けいれんが下唇の端をぴくぴくと引っらせ、くしゃくしゃになったちぢが、まるでたてがみのようにひたいに垂れかかっている。
由子は、流石に、一寸顔をあからめて、横を向いた。その赤らんだ耳朶みみたぶにかかった二三本の遅れがかすかにふるえていた。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
また一人ひとりむすめのまくらもとには、いいオルガンがありました。そうして、もう一人ひとりのちぢれむすめのまくらもとには、あかいとこなつそうがありました。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼は浅黒い額や縮れに対する昨日の自分の憎念を思い出して、たとえ昨日あの烈しい憎悪と忿怒の最中でも、自分にはとても人間は射てなかったろうと思った。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
又随分チョン髷も有りますが此髪の癖を御覧なさい揺れて居る癖を、代言人や壮士の様なちらでは無論、此癖は附かず、チョン髷でも同じ事、唯だ此癖の附くのは支那人に限ります
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
嵐が戸外に吹きすさんで物凄い晩であった。赤目のちぢれの跛がしんとした真夜中頃、扉を細目に開けて、広間を覗くと、冷かな風が隙間を漏れて来る。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
「挑戦?」とラエーフスキイは、動物学者に近寄って、憎悪の眸をその浅黒い額や縮れに注ぎながら、小声でいった、「挑戦? よろしい。僕は君を憎む! 憎む!」
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あるのこと、ちぢれ少女おとめは、ともだちにあってみますと、一人ひとりは、うつくしいくしと指輪ゆびわっているし、一人ひとりは、いい音色ねいろのするオルガンをっていますので、なんとなく
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)