あら)” の例文
片方の眼であつたのが兩方の眼になつて、鼻と口とが其下に見えて、襦袢の襟の若々しく紫色なのと帶の赤いのとがあらはに目に立つ。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
あらはに鳳輦ほうれんじゆんを為す
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ひもせずひねるたゝみちりよりぞやまともつもるおもひの数々かず/\ひたしたしなどあらはにひし昨日きのふこゝろあさかりけるこゝろわれとがむればおとなりともはず良様りやうさまともはずはねばこそくるしけれなみだしなくばとひけんからごろもむねのあたりのゆべくおぼえてよる
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
裏側に糊を附けた爲めに『そんなにぢらすのわつみだわ』といふ文字があらはに上向いて出てゐて、これはまづいと氣がつき、今度は文字の方に糊を附けて張附ける。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)