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陸稻
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をかぼ
刈しほと麥は刈られぬ。刈麥の穗麥は伏せて、
畝竝にさららと置きぬ。麥刈れば
戰ぐさみどり、
畝の
間にすでに伸びつる
陸稻ならしも。
陸稻とも
云はんねえもんだな、
以前と
違つて
今の
時世ぢやさうだからこんで
場所によつちや、
百姓にもたえした
起き
轉びがあるのよなあ
陸稻畠の
畔道を、ごほんごほんと
咳入りながら、
※ はどこへゆくのでせう。
僅な
餅はさういふことで
幾らも
減らないのに
時間が
經つて、
寒冷な
空氣の
爲に
陸稻の
特色を
現して
切口から
忽ちに
罅割れになつて
堅く
乾燥した。
門畑やそよぐ
陸稻の夜に入れば月ほそく見ゆ黒き
屋のうへ
「おとつゝあ、それもなんだが、さうえに
持てやしめえし、
米でも
少しやつたらよかんべな、どうせ
少し
經つと
陸稻刈れんだもの」おつぎは
口を
添へた。