間男まおとこ)” の例文
日ごろ仲よしの、饅頭まんじゅう売りの武大ぶださんを公園で見つけて「おまえの女房は間男まおとこしてるよ」と、すっかり告げ口してやった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白状しますが私は今から十四年ほど前に、柳河でかかあと、嬶の間男まおとこをブチ斬ってズラカッタ林友吉というお尋ね者です。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「また——間男まおとこ、見つけた。ち斬ってくれる。……なんて、いうて、オヤジが飛びだすと困るけ、帰ろう」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
裏店のおかみさんが間男まおとこをして悪ければ、太閤秀吉が人の女房を犯していいという道徳はありますまい。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「若松屋さん、間男まおとこの成敗だ。ちっと痛かろうが、がまんしていただきましょう」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「子が親に似るのに不思議はないじゃないか。己は間男まおとこの子じゃないからな」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
不貞の淫婦の夫を角生えたとののしり、近松の浄瑠璃に夫が不在中、妻が間男まおとここしらえたを知らずに、帰国早々知り合いより口上なしに苧麻おあさを贈りて、門前へ積み上げたごとく、角を門前へ置かれたり
忍び込むと云うと語弊がある、何だか泥棒か間男まおとこのようで聞き苦しい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「わかったよ、わかったよ。河豚ふぐ間男まおとこの味は忘れられない。ここで逢曳あいびきするからには、わたしたちだけでいい思いをしているわけはないやね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間男まおとこ、見つけた。打ち斬ってくれる」といって、団栗眼どんぐりめをギョロギョロさせた。あのときはランプ、今は電燈、そして、金五郎が年をとっているだけの相違である。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「人の物をると……十両からこうなるんだぜ、九両二分まではいいが、十両からになると、どっちみち、こうなる運命はのがれられねえんだ、間男まおとこ盗人ぬすっとは、首の落ちる仕事だよ」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
自分のかかあと、その間男まおとこをした界隈切っての無頼漢ゴロツキを叩き斬って、八ツになる友太郎を一人引っ抱えたまま、着のみ着のままで故郷を飛出して爆弾漁業者ドンの群に飛び込んだという熱血漢だ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それをッかけに武大さんは、男女ふたりがしけ込んでいる奥へ飛びこんで、間男まおとこ見つけたとでッかい声できめつけるのさ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
気前と心意気にはうぶなところがまる残りなんだから掘出し物さ、いわば、生娘きむすめと、お部屋様と、お女郎と、間男まおとことを、ひっくるめたような相手なんだから、近ごろ気の悪くなる代物しろものだあ。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
間男まおとこ、見つけたぞ。二人とも、ち斬ってくれる。そこへ、坐れ」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
一ぺん夫婦となった以上は、どっちにどういう間違いがあっても、離していけず、離れていけねえ、間男まおとこをしようとも、やくざをしようとも、そりゃ亭主の器量が足りねえんだとあきらめて
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
河豚ふぐの味と間男まおとこの味、その怖いのがよろしいので……」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間男まおとこして