鑑定めきき)” の例文
「こういう品は今時いまどき、この山国でもなければ滅多には出て来ないわい、いざ神尾殿、よく穂先からこみの具合まで、鑑定めききして御覧あれ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
だが、さる物識ものしりの説によると、あんな事になつたのは、学者の鑑定めききが足りないのでも何でもなく、掘出された独木舟が悪いのださうだ。
「恐しく先をくぐりましたね親分、まさにそのとおり。銭形の親分の鑑定めききに狂いはないが、此処に一つ困ったことが起った」
本阿弥の辻に住んでいるところから、人呼んで本阿弥光悦というが、本名は次郎三郎、また本業は刀の鑑定めききと、とぎと、浄拭ぬぐい
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
犬を飼育したりその鑑定めききをしたり、あるいは流行を追って変り種の交配を図ったりする上に、かなりの利便があったのだろうと考えております。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「専斎殿の鑑定めききによれは、捨て売りにしても五十両。好事家こうずかなどに譲るとすれば百両の値打ちはあるそうだ」
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そっと近所の役人に鑑定めききしてもらうと、まぎれもない金座で吹いた小判だというので、源七は安心して、米とおつりを渡したのだったが、小判が真物ほんものであればあるだけ
どうも、鯉のふとり工合ぐあい鑑定めききしたものらしい……きっと今晩の御馳走ごちそうだと思うんだ。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「玉井さんは、刀剣の鑑定めききが、大層、上手じゃげなのう。これも、銘刀かね?」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「アレクセイ・イヴァーノヴィチ、あなたは寶石の鑑定めききができますかね?」
鑑定めききに来たりし楼の主が誘ひにまかせ、この地に活計たつきもとむとて親子三人みたりが旅衣、たちいでしはこの訳、それより奥は何なれや、今は寮のあづかりをして母は遊女の仕立物、父は小格子の書記に成りぬ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ところが万殿、偶然といおうか、きょう何心なく吹上ふきあげを歩くうちに、この吉宗が、奇異な短刀を手に入れたのだが、鑑定めききをしていただけようか」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
利休はなつかしさうに言つて、生前に茶器を鑑定めききした時のやうな眼つきをして、しげしげと遠州の顔を見ました。
利休と遠州 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
「八、お前は気の毒だが、石巻左陣さんを呼んで来てくれ。短刀を鑑定めききして頂きたいからって、いいか」
「それはお安いこと、進上致そう。その前に一応の鑑定めききが所望」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「下手人は両刀を帯びた侍、なんで、そんな短刀を選ぶ必要があろう。後日の鑑定めききまぎらわすからくりさ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠州は茶器の鑑定めききうまかつたので、将軍はいつも大金をこの男にまかせて、色々いろんな名器を集めさせた。ところが、遠州はその金を一万両ばかし自分の用につかひ込んだ。
「待ってくれ、もう一つ、この手紙は誰が書いたか、元助と宗匠に鑑定めききして貰おう」
七兵衛もちょっとした刀の鑑定めききぐらいはできる男であったから
「けれど、そちの探ッている目星と、わしの存じている事とは、違っているかも分るまい。釘勘、お前はその仮面が、今何処の誰の手にあると鑑定めききをつけているな」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本阿弥ほんあみ鑑定めききで、偽と知れたのはツイ近頃、——その前に万一の時の事を五兵衛に相談すると、佩刀を盗まれた落度から偽物と掏り換えの罪は、みんな五兵衛が自分で引受けるから
「もしや、おれの眼が低くて、鑑定めききが誤つてゐるのではあるまいか……」
小壺狩 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
とく鑑定めききがしてもらいたい
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
本阿弥ほんあみ鑑定めききで偽物と解り、石川様へ厳重なお達しがあったのだそうでございます
ちょうど冬のことだったので、宿屋の主人あるじは夜長の心遣いから、溺器しびんを室の片隅に持運んで来た。それは一風変った形をした陶器だったが、物の鑑定めききにたけた貞昌の眼は、それを見遁さなかった。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
「刀の鑑定めききは、たしか、そちらの方が先輩であったと思う」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
する人じゃありませんよ。——こればかりは三輪の万七親分の鑑定めきき違いでしょう
「呆れ返った野郎だ。手前はその刀屋の鑑定めききを、相手に言わなかったのか」
「お前の鑑定めききが当てになるものか。とにかく行ってみるとしようか」
「どうだ八、お澪は周助の娘とみたが、——この鑑定めききは当るか」
「娘の鑑定めききだけは、大した腕前だな、八」
「八、手前は、酒の鑑定めききは自慢だったな」
鑑定めききが細かいな」