金鱗きんりん)” の例文
まもなく、宿の板前や男衆に桶をかつがせ、見ごとな金鱗きんりん金鯉きんごい十数ひきをすくい入れて二人は帰ってきた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うつくしきひとの、葉柳はやなぎみのたる忍姿しのびすがたを、落人おちうどかとれば、あにらんや、あつ情思おもひ隱顯ちら/\ほたるすゞむ。きみかげむかふるものは、たはれをそか、あらず、大沼おほぬまこひ金鱗きんりんにしてひれむらさきなるなり
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるいは「釜中ふちゅうの鯉魚」と答え、あるいは「あみとお金鱗きんりん」と答えはするが、ついに鯉魚あるを知らず、おのれに身あるを知らず、眼前に大衆あるを知らずして、問いに対する答えのすみやかなること
鯉魚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
玉壺春ぎょっこしゅん”やら金鱗きんりんの鯉やらで、ゆうべもあれで、したたかに飲み、そして食べてもいたのだろう。……そのせいか明け方から彼はシクシク腹痛を覚えていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しやく金鱗きんりんおもかゞやかして、みづうへ飜然ひらりぶ。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
呉用先生の智網ちもう金鱗きんりんの鯉をって元の村へ帰ること
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)