金脚きんあし)” の例文
スウェーデンの牧牛女うしかいめは狼を黙者だんまり灰色脚はいいろあし金歯きんばなど呼び、熊を老爺おやじ大父おおちち、十二人力にんりき金脚きんあしなど名づけ決してその本名を呼ばず
夢の世を夢よりもあでやかながめしむる黒髪を、乱るるなと畳めるびんの上には、玉虫貝たまむしかい冴々さえさえすみれに刻んで、細き金脚きんあしにはっしと打ち込んでいる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
銀杏返いてふがへし引約ひつつめて、本甲蒔絵ほんこうまきゑ挿櫛さしぐし根深ねぶかに、大粒の淡色瑪瑙うすいろめのう金脚きんあし後簪うしろざし堆朱彫ついしゆぼり玉根掛たまねがけをして、びん一髪いつぱつをも乱さず、きはめて快く結ひしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
洗髪あらいがみ潰島田つぶししまだ、ばっさりしてややほつれたのに横櫛よこぐしで、金脚きんあし五分珠ごぶだまかんざしをわずかに見ゆるまで挿込んだ、目の涼しい、眉の間にくもりのない、年紀としはまだ若いのに、白粉気おしろいけなしの口紅ばかり
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ある、ある。その上不思議な事に金脚きんあしの簪にまで、念入りに銀流しをかけさせて、小錢がないから今晩戌刻いつゝの鐘が鳴つたら、筋違見附すぢかいみつけの側まで、簪を持つて金を受取りに來てくれと言つた—」
その頃流行った珊瑚さんごの五分だま金脚きんあしとかいう物だったろう。小橋の上から覗いてみると、それは久保山から流れてくる早い水勢で、ちょっと深い。かんざしは、底の方にキラキラ透いて見えている。