道楽どうらく)” の例文
旧字:道樂
糟谷かすや西洋葉巻せいようはまきを口からはなさないのと、へたの横好よこずきにを打つくらいが道楽どうらくであるから、老人側ろうじんがわにも若い人のがわにもほめられる。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
尊敬することによって自分が一人前にしてやった女を装飾そうしょくすることは職業に興味を持つ探偵に取って悪い道楽どうらくではなかった。
売春婦リゼット (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彦兵衛にたった一つの道楽どうらくはこれだった。自分の心にとがめるような事をした後では、きっとそこへ入って念仏ねんぶつを云う。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いずれも弓矢ゆみやたずさえ、うままたがって、たいへんなさわぎで出掛でかけたものでございます。ちち武人ぶじんではないのですが、それでも山狩やまがりがなによりの道楽どうらくなのでした。
ところで、かような高級道楽どうらく食いの店を、新橋界隈かいわいに求めていったい何軒あるだろうか。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
人形怪人といわれるだけあって、人形をあつめるのが道楽どうらくなのかもしれません。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
与右衛門さんには道楽どうらくと云うものが無いが、金と酒は生命いのちにかけて好きである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
おまけに道楽どうらく大弓だいきゅう浪花節なにわぶしとだって云うんじゃないの? それでもさすがに浪花節だけはい趣味じゃないと思っていたんでしょう。あたしの前じゃ浪花節のなの字も云わずにすましていたの。
文放古 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
別に収入の道はなさそうであったが、幾らかたくわえがあると見え、かせぐということをしないで、本を読む間々あいだあいだには、世間の隅々に隠れている、様々な秘密をかぎ出して来るのを道楽どうらくにしていた。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
美味うまいもの食いの道楽どうらくは健康への投資と心得よ。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)