逆戻ぎやくもど)” の例文
二度ばかりはお母さまが救ひ出してお上げになつたのですが、しかし自由になるが早いか直ぐに以前の仲間や癖に逆戻ぎやくもどりなさるのです。
「へエ、外へ持出さなきや此處より外に隱す場所はありません。もとの吊臺へ逆戻ぎやくもどりなどは、成程曲者は智慧者ですね」
それから逆戻ぎやくもどりをして塔頭たつちゆう一々いち/\調しらべにかゝると、一窓庵いつさうあん山門さんもん這入はいるやいなやすぐ右手みぎてはうたか石段いしだんうへにあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
冬分ふゆぶん往々わう/\敦賀つるがからふねが、其處そこ金石かないはながら、端舟はしけ便べんがないために、五日いつか七日なぬかたゞよひつゝ、はて佐渡さどしま吹放ふきはなたれたり、思切おもひきつて、もとの敦賀つるが逆戻ぎやくもどりすることさへあつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)