退却たいきゃく)” の例文
おもわぬことにほこさきをくじいたおつ軍勢ぐんぜいけて退却たいきゃくいたしますと、今度こんどこう軍勢ぐんぜいきゅういきおいをかえして、げるおつ軍勢ぐんぜいってゆきました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
官をして護衛警察官が退却たいきゃくし、のびのびと手足をのばして好い気になっていたとたん、二月二十六日の朝、雪降る中にトラックに乗った警察官の一群が寝込ねこみをついてやって来た。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
おまけに、あなた達はパンツ一枚なのですから、太股ふとももの紅潮した筋肉が張りきって、プリプリ律動するのがみえ、ぼくはすっかり駄目だめになり、ほうほうのていで、退却たいきゃくしたことがあります。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
今まで葛練くずねりの中で泳いでるように身動きも出来なかったのが、急に楽になったと思ったら、敵も味方も一度に引上げてしまった。田舎者でも退却たいきゃくは巧妙だ。クロパトキンより旨いくらいである。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
右のごとく上士の気風は少しく退却たいきゃくあとあらわし、下士の力はようやく進歩の路に在り。一方にきんじょうずべきものあれば、他の一方においてこれをもくせざるもまた自然のいきおい、これを如何いかんともすべからず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
キンちゃんは大力だいりきだったから正吉はいっしょに退却たいきゃくする外なかった。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「たい焼き屋に退却たいきゃくを命じろ」
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)