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輙
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たやす
ふりがな文庫
“
輙
(
たやす
)” の例文
その恋のいよいよ急に、いよいよ
濃
(
こまやか
)
になり
勝
(
まさ
)
れる時、人の最も憎める競争者の為に、しかも
輙
(
たやす
)
く宮を奪はれし貫一が心は
如何
(
いか
)
なりけん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ただかの絳雪を伴なふごとに
輙
(
たやす
)
くはえも来ず。怨ずるに香玉、『わが情癡の
性
(
さが
)
には似もやらで、絳雪物に拘らはねば、こころ自からゆるやかなり。』
『聊斎志異』より
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
養老元年の紀に、この頃百姓法律に背いて、ほしいままにその情に任かせて髪を
剪
(
き
)
り
鬢
(
びん
)
を
髠
(
おろ
)
し、
輙
(
たやす
)
く法服を着けて貌を
桑門
(
そうもん
)
に似せ、情に奸盗を挟むともみえている。
俗法師考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
造作もない事だ、汝が頭痛したら官道に往って全く総身を伸ばして
暫
(
しばら
)
く居れば
輙
(
たやす
)
く治ると告げた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
面
(
おもて
)
には
顯
(
あらは
)
さず夫は氣の毒にも
惜
(
をし
)
き事なり
併
(
しか
)
し夫には
證據
(
しようこ
)
でも有ての事か
覺束
(
おぼつか
)
なし孫君の將軍の
落胤
(
らくいん
)
でも
輙
(
たやす
)
く出世は出來まじ
過去
(
すぎさり
)
し事は
諦
(
あきら
)
め玉へと
賺
(
すか
)
し
宥
(
なだむ
)
ればばゝは此
言葉
(
ことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
▼ もっと見る
八汐路
(
やしほぢ
)
を
輙
(
たやす
)
くわたるもろこしの海の城てふなくてやまめや (吉田松陰)
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
此等源十以下の人々は皆
輙
(
たやす
)
く考ふることが出来ない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
熱灰
(
ねつかい
)
の下より一体の
屍
(
かばね
)
の
半
(
なかば
)
焦爛
(
こげただ
)
れたるが
見出
(
みいだ
)
されぬ。目も当てられず、浅ましう
悒
(
いぶせ
)
き限を尽したれど、
主
(
あるじ
)
の妻と
輙
(
たやす
)
く弁ぜらるべき
面影
(
おもかげ
)
は
焚残
(
やけのこ
)
れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
彼は先づかく会釈して席に着きけるに、婦人は猶も
面
(
おもて
)
を示さざらんやうに
頭
(
かしら
)
を下げて礼を
作
(
な
)
せり。しかも彼は
輙
(
たやす
)
くその下げたる
頭
(
かしら
)
と
拄
(
つか
)
へたる手とを挙げざるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
輙
漢検1級
部首:⾞
15画