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輒
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たやす
ふりがな文庫
“
輒
(
たやす
)” の例文
尤
(
もっと
)
も
上
(
のぼ
)
りは
大抵
(
たいてい
)
どのくらいと、そりゃ
予
(
かね
)
て聞いてはいるんですが、日一杯だのもう
直
(
じき
)
だの、そんなに
輒
(
たやす
)
く
行
(
ゆ
)
かれる処とは思わない。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前にも云つたやうに、将軍の一行には蘭方医と漢方医とが
相半
(
あひなかば
)
してゐた。其人物の貫目より視ても、両者は
輒
(
たやす
)
く
軒輊
(
けんち
)
すべからざるものであつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし王荊公が波はすなわち水の皮と
牽強
(
こじつけ
)
た時、東坡がしからば滑とは水の骨でござるかと
遣
(
や
)
り込めた例もあれば、字説
毎
(
つね
)
に
輒
(
たやす
)
く信ずべきにあらずだ。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
むかし母に手を
拉
(
ひ
)
かれて祭を見し貧家の
子幸
(
さち
)
ありといはんか、今ボルゲエゼ家の賓客となりて歸れる紳士幸ありといはんか、そは
輒
(
たやす
)
く答へ難き問なるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
中
(
うち
)
の様子を
窺
(
うかが
)
ふに、ただ暗うして
確
(
しか
)
とは知れねど、奥まりたる
方
(
かた
)
より
鼾
(
いびき
)
の声高く
洩
(
も
)
れて、地軸の鳴るかと疑はる。「さては
他
(
かれ
)
なほ
熟睡
(
うまい
)
してをり、この
隙
(
ひま
)
に
跳
(
おど
)
り入らば、
輒
(
たやす
)
く打ち取りてん」
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
▼ もっと見る
今の若い女子にこれ位の自負もないのは口惜しゅう御座います。光源氏の恋人になろうと申すのと、
拙
(
つたな
)
い絵や音楽に
騙
(
だまさ
)
れて、沢山の女学生や夫人までが
輒
(
たやす
)
く
電小僧
(
いなずまこぞう
)
の情婦になるのとは大変な相違です。
離婚について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
細木香以
(
ほそきかうい
)
が治を請うた時、榛軒は初め
輒
(
たやす
)
く応ぜなかつた。しかし切に請うて已まぬので、遂に門人石川
甫淳
(
ほじゆん
)
をして治療せしめた。石川は榛軒門人録に「棚倉」と註してある。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さりとて君は世俗のいふ魔窟に、まことに魔ありとは、よも思ひ給はじ。醫師。そは
輒
(
たやす
)
く答へまつるべうもあらぬ御尋なり。自然は
謎語
(
なぞ
)
の
鉤鎖
(
くさり
)
にして吾人は今その幾節をか解き得たる。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
教則は文部省が
輒
(
たやす
)
く認可せぬので、往復数十回を
累
(
かさ
)
ね、とうとう保の在職中には制定せられずにしまった。罰則は果して必要でなかった。
一人
(
いちにん
)
の
詿違者
(
かいいしゃ
)
をも
出
(
いだ
)
さなかったからである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
否、マリアはさて置き、何人をも我は終身
娶
(
めと
)
らざるべし。友。そは又
輒
(
たやす
)
くは信じ難き豫言なり、おん身にふさはしからで我にふさはしかるべき豫言なり。好し、さらばわれ君と誓はん。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかし先代勝三郎の門人は杵勝同窓会を組織していて、技芸の小三郎より優れているものが多い。それゆえ襲名の事は
輒
(
たやす
)
く認容せられなかった。小三郎は遂に
葛藤
(
かっとう
)
を生じて離縁せられた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
然れば無罪にして士分の取扱をも受くべき筈である。それを何故に流刑に処せられるか、その理由を承らぬうちは、
輒
(
たやす
)
くお
請
(
うけ
)
が出来難いと云うのである。目附は当惑の体で云った。不審は
最
(
もっとも
)
である。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
初め志保は思ふ所あるものの如く、
輒
(
たやす
)
く口を開かなかつた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
輒
漢検1級
部首:⾞
14画