軍律ぐんりつ)” の例文
「ここはただ持久を計れ、堅く守って討ッて出るなとしてあるに、副将のそちみずからなぜ軍律ぐんりつをやぶるか」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
難有ありがたく、せめて報恩ほうおん萬分まんぶんいちには、この軍艦ぐんかん水兵等すいへいらおなやうはたらきたいと、しきりにこゝろ焦立いらだてたが、海軍かいぐん軍律ぐんりつげんとしてうごかすからず、本艦ほんかん在役ざいえき軍人ぐんじんならねば檣樓しやうらうのぼことかなはず
こう号令ごうれいしたが、令をくだす自分だけは軍律ぐんりつもなにもなく、黒布こくふのかくしぶくろから陶器製すえものせいのパイプを出し、それへ、葉煙草はたばこをつめたかと思うと、歩きながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じつその軍律ぐんりつ嚴然げんぜんたるは今更いまさらながら感嘆かんたんほかいのである。
軍律ぐんりつをもって陣屋追放をうけたというから、そこで呂宋兵衛は、もちまえの盗賊化とうぞくかして、これから他国へ逐電ちくてんするゆきがけの駄賃だちんとでかけているところであろう。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍律ぐんりつ一本のげんたる統率になければならない戦場において、はしなくも、今日の玄蕃允は、日頃の叔父甥の感情を持ち出し、平常のれたる態度で、興亡の処決に向い、しかも
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)