民衆とは平民のことであると信ずるのは、愚かの至りである。中流階級にも賤民の魂があると同じく、民衆にも貴族がある。
それは殿様に土下座する賤民のようにまで卑屈に見えたが、その芯にはもう決して動かされないねばっこさをさとらせた。
彼らは皆小人どものみなり。陛下、陛下の精兵一人を作らんがためには彼ら二人を接合するを要すべし。首府の賤民につきては少しも恐るるに足らず。
然るに、此の騒々しきどさくさ紛れを利用して、平日殺生禁断の池に釣垂れて、霊地を汚し、一時の快を貪りし賤民の多かりしは、嘆かはしきの至りなりし。
爵位が無くても、天爵というものを持っている立派な貴族のひともあるし、おれたちのように爵位だけは持っていても、貴族どころか、賤民にちかいのもいる。