論鋒ろんぽう)” の例文
丁度甲州流の戦法のように隙間すきまなくやり穂尖ほさきそろえてジリジリと平押ひらおしに押寄せるというような論鋒ろんぽうは頗る目鮮めざましかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「どうも種々に論鋒ろんぽうが変化するから君の趣意が解りかねるが、それじゃア何か、我輩の言方即ち忠告の Mannerマンナア が気にわんと云うのか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その証拠は云々と語らんとすれども、何分にも彼らが今日の実証を挙げて正面より攻撃するその論鋒ろんぽうに向かっては、残念ながら一着を譲らざるを得ず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
文辞佳麗論鋒ろんぽう鋭利にしてしかも芸術的感情に富みたる完全なる好著なりしが、惜しむべし丁抹語にて書かれたるがため広く世の迎ふる所とならざりき。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
富田は少し酔っているので、論鋒ろんぽうがいよいよ主人に向いて来る。「一体ここの御主人のような生活をしていられては、周囲まわりの女のために危険で行けない。」
独身 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
薔薇ばらの中から香水を取って、香水のうちに薔薇があると云ったような論鋒ろんぽうと思います。私の考えでは薔薇のなかに香水があると云った方が適当と思います。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鉄縁の鼻眼鏡のうしろには、不相変あいかわらず小さな眼が、柔らかな光をたたえながら、アイロニカルな微笑を浮べている。その眼がまた、妙に本間さんの論鋒ろんぽうを鈍らせた。
西郷隆盛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし彼女はクリストフの訓戒がしゃくにさわった。そして論鋒ろんぽうを転じて言った。善良さを云々うんぬんするのは訳もないことだ。善良という言葉をもってすれば、なんでも許される。
しかしイエスは敵の論鋒ろんぽうをくじいたことをもって満足し給わず、積極的に進んで追撃の巨弾を浴びせ給うた。すなわち彼は言葉をあらためて、一つの譬話たとえばなしを語り出で給うたのであります。
しかし彼の論鋒ろんぽうは鈍っていた。地盤は明らかに彼の足下にくずれかけていた。
いまだ四ヵ月を経ざるにすでに再版に付し、またこれを三版に付せんとす。なんぞそれ世人購求の神速にして夥多かたなるや。けだし君が論鋒ろんぽうの卓々なるによるか、はたその文章の磊々なるによるか。
将来の日本:01 三版序 (新字新仮名) / 新島襄(著)
いまだ四ヵ月を経ざるにすでに再版に付し、またこれを三版に付せんとす。なんぞそれ世人購求の神速にして夥多かたなるや。けだし君が論鋒ろんぽうの卓々なるによるか、はたその文章の磊々なるによるか。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「じっさい、大沢君の論鋒ろんぽうは鋭かったよ。痛快だったね。」
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
邦人にして独逸ドイツ語を以て独逸人の前で演説したのは余を以て嚆矢こうしとすというような論鋒ろんぽうで、一々『国民新聞』所載の文章を引いては、この処筆者の風丰ふうぼう彷彿ほうふつとして見はると畳掛たたみかけて
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)