請取うけとり)” の例文
知らず彦兵衞は金のつるに有り付たりとよろこび勇み望みの荷物を請取うけとりこれあゝしてかうしてと心によろこび我がを指て立歸たちかへり淺草御門迄來懸る處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
約束がきまって、男は三両の金を渡したので、孫十郎はかり請取うけとりをかいて渡した。帰るときに、男は念を押して云った。
半七捕物帳:42 仮面 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「ちょいとお待ちなさい、お蝶さん、請取うけとりがいりますぜ、いらっしゃるなら、どうぞ、御懐中物を御持参で、」
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
請取うけとり御番の節は、必ず昼御番と取り違えたと称して、お身は、早朝出仕したことはないではござらぬか。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
宿泊料、茶代、祝儀それぞれの請取うけとりを持って来た女中が、車の支度が出来ていると知らせた。純一は革包に錠を卸して立ち上がった。そこへお上さんが挨拶に出た。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
歴々の上﨟じやうらふたち、衣裳美々しくよそはれたるまま、かなはぬ道とさとり、並居ならびゐたるを、さもあらけなき武士たち請取うけとり、その母親にいだかせて、引上げ引上げ張付はりつけにかけ——
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
多「でもマア斯うやって請取うけとりになって居りやんすから、そんなら二俵け戴いて置きましょう」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
材木の間から革包かばんを取出し、難なく座敷に持運んで見ると、他の二束ふたたばも同じく百円束、都合三百円の金高が入っていたのである。書類は請取うけとりの類。薄い帳面もあり、名刺もある。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
寄附金の請取うけとり8・18(夕)
請取うけとりやが古郷こきやうへ急ぎけるかくて山路に掛り小松原を急ぐ程に身には荒布の如き半纏をまとひし雲助二人一里づかの邊より諸共に出て前後より傳吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
請取うけとり御番、昼御番、夕御番の三組である。請取御番は早朝に出役しゅつやくして前夜当番の者から御番を受け取る。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と金をあらた請取うけとりを置いて出てきますと、摺違すれちがって損料屋そんりょうやが入ってまいりました。
右之通りたしか請取うけとり申候 以上
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
取役人共印形いんぎやう取置申候且又古河穀屋儀左衞門方より穀代こくだい金百兩富右衞門へ相渡あひわたし候おもむき是又呼上吟味ぎんみ仕つり書付請取うけとり申候右のとまり所相違さうゐも無御座候以上
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)