詮方しかた)” の例文
山「これお百姓、高沢町の人、お聞きの通り種々いろ/\とお詫を申してもお聞入れがないから、お前ももう何うも詮方しかたがない手打に成りなさい」
夫ぢやアやつて下さるか如何いかに吾儕われがことをかまて見せようが此姿すがたでは如何どうかう詮方しかたがねへ付ては身姿みなりこせへるだけ金をば五兩貸てくれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それまで、そんなことまですべて言わなければならんのですか。……詮方しかたがない、災難と思う……御都合に因っては、それはどこへでもお供を
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのうちに雨が止んで微陽うすびが射した。雨の止んだのにいつまでもいるわけにいかなかった。南は詮方しかたなしに帰ってきた。
竇氏 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
結搆過ぎた、身の上に、させて貰ふた方様に、さういふお詞戴いては。どうでも済まぬこの胸を、割つてはお眼に掛けられず。はつあ詮方しかたがない、どうなとなろ。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
前度にりて、鶏舎のしまりを厳重にしたが、外にしめ出しては詮方しかたが無い。なしの木の下に埋葬。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
賤「新吉さんお前こゝにいてはいけないよ、どんな事が有っても詮方しかたがないから土手へ連れて行って彼奴あいつ斬払ぶっぱらっておしまいよ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
詮方しかたがない、大声を揚げて見ようかとも言い出したが、こりゃ直ぐに差留められた。勿論、お怒鳴どなんなさいと命令をされたって、こいつばかりは、死んでもあやまる。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そりゃ此処に斯うして毎日君の活動を見て居ると、うらやましくもなるし、だまって立って居る俺は実以て済まぬと恥かしくもなるが、此れが性分だ、造り主の仕置だから詮方しかたは無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
梅「まアお待ちなさい、当人を連れて来て全く見たなら詮方しかたもないが、見なければ殺さなくってもいじゃアないか」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「さようでしたかい、さようとは存じませず、まあ。飛んだことをいたしました。つい一言ひとことならぬとおっしゃれば可いのにさ。ねえ、旦那。しかし出来たことなら詮方しかたがございません。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は喰べなくてもいから何卒どうぞお父様丈にはお粥でも炊いて上げなければ成らないから、もう詮方しかたがない
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
詮方しかたがないからです。」
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何ういう訳だってもいかねえ、種が上って居るから隠さずに云え、云わなければ詮方しかたがねえ、お前方二人を
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでも悪いから此処こゝず此の儘にしなさい、此家こゝ旅人宿はたごやで迷惑をするし、お前も向うの包と取違えたのは粗忽そこつ詮方しかたがないから、先ず此処は控えて居なさい
又「情合だって婆さんも私もいやだったが、ほかく所がなし詮方しかたがないから居たので」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)