ちゅう)” の例文
朱子しゅしちゅうって論語を講釈するのを聞いたより外、なんの智識もないのだが、頭の好い人なので、これを読んだ後に内々ないない自らかえりみて見た。
かのように (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それに遠祖外戚までに及ぶのはなお煩を加えるだけだから、壇ノ浦合戦に見える人々だけにとどめ、かんたんなちゅうして次に掲げてみる。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここにちゅうしておく。都会にはない事である。このあたりの寺は、どこにも、へだて、戸じまりを置かないから、朝づとめよりして夕暮までは、諸天、諸仏。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「理学士佐和山さんです。×大を昨年出られた……」と四宮理学士がちゅうを加えた。僕はその名を知っていた。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『その同じ時、あなた比丘尼びくにとなりましょう。一雄(ちゅう、長男)小さい坊主です。いかに可愛いでしょう。毎日経よむと墓をとむらいするで、よろこぶの生きるです』
ちゅうを入れるには及ばない——で、様子は解ったかい」
ちゅう。鯨の鬚は、たこの呻りに用ゐられます。)
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)
この書に正保二年の「屋敷附」を以て当時存じていた最古の「武鑑」類書だとして、巻首に載せていて、二年の二の字のかたわらに四とちゅうしている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
くだって、江戸時代の「木曾名所図会」などみると、街道に沿うた番場ノ宿の町なかに“仲時の塚”というのが載っており、そばの丘には“六はら山”とちゅうがある。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
単に韻律音譜のちゅうであったり、名詩の解説的批判であったり、初学者の入門的手引であったり、或は独断的詩論の主張であったりするものとは、全然内容が異っている。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
高野聖こうやひじりはこのことについて、あえて別にちゅうしておしえあたえはしなかったが、翌朝たもとを分って、雪中山越せっちゅうやまごえにかかるのを、名残惜なごりおしく見送ると、ちらちらと雪の降るなかを次第しだいに高く坂道をのぼる聖の姿
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ちゅうにも及ぶまいかと、前掲の人物表には、安徳天皇と御母建礼門院徳子のふたりは除いておいた。悲戦の中でも一そう悲劇的な象徴はこの余りにもきれいな母子の像である。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各章の終に附した細字のちゅうは、本文の註釈と言うよりは、むしろ本文において意を尽さなかった点を、さらに増補して書いたのである。故に細字の分も注意して読んでいただきたい。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
図中、細々と書き入れてあるちゅうがいま申し上げた蛮地の事情やら気象風土などであります
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)