託宣たくせん)” の例文
と、ご託宣たくせんの出たからには、痛い思いぐらいはあっても、生命いのちにはかかわるまい。——そう考えて吉次は眼を閉じていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(お玉が池のあたり開け住みうかりければやといふ。)親は寿を、子は福をさづけんと託宣たくせんありしよりその名ありとなん。
江戸の玩具 (新字旧仮名) / 淡島寒月(著)
すると意外にも、ここにいる、櫛名田姫くしなだひめと云う一人娘を、高志こし大蛇おろちいけにえにしなければ、部落全体が一月ひとつきの内に、死に絶えるであろうと云う託宣たくせんがあった。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
父上ちゝうへなくならば親代おやがはりのれ、兄上あにうへさゝげてかまどかみまつぽん託宣たくせんこゝろならば、いかにもいかにも別戸べつこ御主人ごしゆじんりて、此家このやためにははたらかぬが勝手かつて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と、がねのような声でこうご託宣たくせんをくだしたのである。そして彼は広間の法廷に出て、壇の中央にある知事席に腰をすえ、大真面目で、えんじゅしゃくを胸のまえに構え込んだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうなると話にも尾鰭おひれがついて、やれあすこの稚児ちごにも竜がいて歌を詠んだの、やれここの巫女かんなぎにも竜が現れて託宣たくせんをしたのと、まるでその猿沢の池の竜が今にもあの水の上へ
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「——おい、店のおやじ、途中から使いは出してあるが、やがてほどなく、牢城営の管営かんえい(奉行)と差撥さはつ(牢番長)がこれへ見えるんだ。そしたら、後の客は、入れてはならんぞ。店は買切りにしてやるからな」というご託宣たくせん
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神の託宣たくせんを告げたものである。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「また、弟さんのご託宣たくせんかえ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)