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ことば
「
俺れがよ
心はこうなれど、
怒るまえぞえ
見棄てまえ、
互に
顏も
合せたら、
言辭も
掛けてくだされよう……」
巫女は
時々調子を
張り
上げていつた。
「さうでござんすね」
勘次はぐつたりと
俛首れて
言辭の
尻が
聞きとれぬ
程であつた。
深い
憂が
顏面の
皺に
強く
刻んだ。
巫女はかなりの
婆さんであつたので、
白粉つけた
瞽女等に
向つて
揶揄ふ
樣な
言辭は
彼等の
間には
發せられなかつた。