“解(ど)” の例文
「頭の禿げた、よく肥(ふと)つた中年者は、大喰ひだから、朝寢坊にきまつて居ますだよ、二階から降りる時だつて、帶ひろ解(ど)けて、眼やにだらけで」
和尚の志の茶づけを二三杯、大急ぎで掻き込むとそのまま、霜解(ど)けの道を走って帰った。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
可哀(あわれ)に美しく凄(すご)い瞳に、自分のを直して着せた滝縞(たきじま)お召の寝々衣(ねんねこ)を着た男と、……不断じめのまだ残る、袱紗帯(ふくさおび)を、あろう事か、〆(し)めるはまだしも、しゃら解(ど)けさして、四十歳(しじゅう)宿場の遊女(おいらん)どの
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
春雨(はるさめ)の格子戸(こうしど)に渋(しぶ)蛇(じゃ)の目(め)開(ひら)きかける様子といい、長火鉢の向うに長煙管取り上げる手付きといい、物思う夕まぐれ襟(えり)に埋(うず)める頤(おとがい)といい、さては唯(ただ)風に吹かれる鬢の毛の一筋、そら解(ど)けの帯の端(はし)にさえ
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
春風にそら解(ど)け繻子(しゅす)の銘は何
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)