見劣みおと)” の例文
実際、万葉の此歌にくらべると実朝の歌が見劣みおとりのするのは、第一声調がこの歌ほど緊張していないからであった。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
魚はかさごといしだいとを描いて見たが、この方は崋山先生の絵があるので、どうも見劣みおとりがしていけない。それよりもはなびしがにの方がよほど上出来である。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
「どうです、異派席の連中は、私たちの仲間にくらべては少し風采ふうさいでも何でも見劣みおとりするようですね。」
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
聖林ハリウッドに入ると、フォオド・シボレエを自動車カアではなく機械マシンだと称する国だけあって、ぼく達の車も見劣みおとりするような瀟洒しょうしゃな自動車が一杯いっぱいで、建物も白堊はくあや銀色に塗られたのが多く
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
そこにならべてあるかゞみ御覽ごらんになればよくわかりますが、かような模樣もようをつけた支那しなかゞみ非常ひじようによく出來できてゐますのに、そのころ日本につぽん出來できかゞみはまだつくかたまづいので、たいへん見劣みおとりがいたします。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「おや、タクマ君。君の料理はいやに量がすくないじゃないか。それに、僕の皿に盛ってある料理にくらべると見劣みおとりがするじゃあないか。ははあ、君は料理を注文するときに、わざと遠慮えんりょしたんだね」
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
天子の儀仗ぎじょうさえ、尚父の出入の耀かがやかしさには、見劣みおとりがされた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見劣みおとりのしぬる光淋屏風こうりんびょうぶかな
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
あたらしく出來できたゞけにすこ見劣みおとりがするようであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)