カラ)” の例文
代助の逢いに来た平岡もその戸口から現われた。先達て見た夏服を着て、相変らず奇麗なカラとカフスを掛けていた。忙しそうに
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やがて銀之助はがた/\靴の音をさせながら、洋服の上衣を脱いで折釘へ懸けるやら、カラを取つて机の上に置くやら、または無造作にズボン釣を外すやらして
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
力のない手付きでカラを引っぱって、咽喉のどを楽にしようとこころみつつ片手を突ついて女の顔を見上げた。そうしてそこで女と顔を見合わせたままピッタリと動かなくなった。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのリイドが或る時カラを買ひに、通りすがりの雑貨屋へ入つて往つた。
代助のひにた平岡も其戸口とぐちからあらはれた。先達て夏服なつふくて、相変らず奇麗なカラとカフスをけてゐた。いそがしさうに
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一等運転手は若いハイカラなヤンキー、客船メイルボート出身だけに淡水と、カラと、ワイシャツの最大浪費者だと聞いた。二等運転手は猶太ジュー系の鷲鼻わしばなを持った小男で、人種はよくわからない。
幽霊と推進機 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「はい/\、カラでございますか。大きさサイズはお幾らで?」
カラを引きけ、ネクタイを引き千切ちぎり、すべりたおれようとして踏み止まりつつ、もう一度走り寄って、眼の前の物体を覗き込もうとした。夢中になって掴みかかるべく身を藻掻いた。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
首の回らないほど高いカラを掛けて外国から帰って来た健三は、この惨澹みじめな境遇に置かれたわが妻子を黙って眺めなければならなかった。ハイカラな彼はアイロニーのために手非道てひどく打ち据えられた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
カラを見せて下さい。」