裸火はだかび)” の例文
肩を揃えて、雛の絵に見る……袖を左右から重ねた中に、どちらの手だろう、手燭か、台か、裸火はだかびの蝋燭を捧げていた。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うしろ隅々すみずみについている瓦斯ガス裸火はだかびの光は一ぱいにつまっている見物人の頭にさえぎられて非常に暗く、狭苦しいので、猿のように人のつかまっている前側の鉄棒から
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
まるで無数のハンケチを干したような枝の交叉は、裸火はだかびの反映で東洋提灯の示威運動みたいだった。切り拓かれたリンクの周囲に、BUFFETの食卓が並んだ。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
「じゃ……」と、あとは、目まぜで、釘勘は委細かまわず先に立って洞窟ほらあなへ入る。と、そこに裸火はだかびを立って、なぐさみをしていた男どもが五、六人、ぜにの音をザラザラとさせて
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたそろへて、ひなる……そで左右さいうからかさねたなかに、どちらのだらう、手燭てしよくか、だいか、裸火はだかび蝋燭らふそくさゝげてた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしろ隅々すみ/″\についてゐる瓦斯ガス裸火はだかびの光は一ぱいにつまつてゐる見物人の頭にさへぎられて非常に暗く、狭苦せまくるしいので、さるのやうに人のつかまつてゐる前側まへがはの鉄棒から
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
しきりに、あっちこっちを見廻しながら、町人ていの男が、バタバタとそのあたりを駈け廻っていたが、お堂の西側にしゃがみ込んで、ろう裸火はだかびに顔を集めている三人の人影を見つけると
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蝋燭ろうそく裸火はだかびを前に置いて
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
裸火はだかび
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)