裸体ぱだか)” の例文
旧字:裸體
「そういう女をかっぱらって来て、妾の変りに裸体ぱだかにし、ウネウネとここでのたくらせたら、大概大将だってゆきつくだろう」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そうして裸体ぱだかのままお酒を飲んで寝ている憎らしい叔父の顔をメチャメチャに斬ってやったの……お母さんの讐敵かたき……って云ってね。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
入れて下さい! とばかりに、お百姓夫婦の眠っている、破れ蚊帳がやの中へ、飛び込んだ。お百姓は裸体ぱだかで、フンドシ一つで眠っている。
雷嫌いの話 (新字新仮名) / 橘外男(著)
七日がすぎると土手の甚藏が賭博ばくちに負けて裸体ぱだかになり、寒いから犢鼻褌ふんどしの上に馬の腹掛を引掛ひっかけて妙ななりに成りまして、お賤の処へ参り
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手提鞄てさげかばんなどをげて、普通の人間の如く平気で出歩いた。時には病院をける事さえあった。帰って来ると裸体ぱだかになって、病院の飯をうまそうに食った。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
三十になったばかりのあぶらの乗り切った良い年増が、大夕立の中を、裸体ぱだかで屋根を渡り——口にこう匕首あいくちなんかくわえて、怨み重なる女を殺しに来るなんて図は、たまりませんね、親分
いつぞや肺病で死んだニーナさんが寝かされていたその寝台ベッドの上に、湯タンポと襤褸ぼろ布片きれで包まれながら、裸体ぱだかで放り出されているじゃないの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
新潟あたりの旅人をだましちゃア親船に連れだって、裸体ぱだかに剥ぎ取って、海にほうり込むてえ話だ、さア御領主様も容易ならねえ海賊だてえんで、御人数ごにんずを出しても
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何もかも緋色ひいろずくめにした部屋の中に大きな蝋燭ろうそくをたった一本ともして、そのまわりを、身体からだ中にお化粧して、その上から香油においあぶらをベトベトに塗った裸体ぱだかの男と女とが
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
文治は心にも懸けずり過しましたが、二三丁まいりますと、一人いちにんの旅人が裸体ぱだかで杉のくゝり付けられ、身体は凍えて口もきけず、がた/″\震え上ってていを見るより、舁夫は
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
血みどろになった裸体ぱだかの叔父が、死物狂いになって掴みかかって来るんですもの。それをあっちに逃げたり、こっちにそらしたりしながらヤットの思いで斬り倒してやったわ。
狂人は笑う (新字新仮名) / 夢野久作(著)
裸体ぱだかで体操をしていましたが、二人の姿を見るとニコニコして裸体はだかのまま出て来て
豚吉とヒョロ子 (新字新仮名) / 夢野久作三鳥山人(著)
いつの間にか私は一糸もまとわぬ裸体ぱだかになって、青白いあばら骨を骸骨のように波打たせて、骨だらけの左手に麻酔薬の残った小瓶を……右手にはギラギラ光る舶来の鋏を振りまわしながら
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)