血筋ちすじ)” の例文
前の嚊にこそ血筋ちすじは引け、おらには縁の何も無いが、おらあ源三が可愛くって、家へ帰るとあいつめが叔父さん叔父さんと云いやがって
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ人並ひとなみみすぐれて情義深なさけふかいことは、お両方ふたかた共通きょうつう美点みてんで、矢張やは御姉妹ごきょうだい血筋ちすじあらそわれないように見受みうけられます……。
それからあるとき天皇は、女鳥王めとりのみこという、あるお血筋ちすじの近い方を宮中きゅうちゅうにおしかかえになろうとして、弟さまの速総別王はやぶさわけのみこをお使いにお立てになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
「いえ。今の場合は、お嬢様という大事なお体にはかえられませぬ。家名はつぶれても、あなた様さえおつつがなければ、甲賀家のお血筋ちすじだけは残ります。あ! よいことがございます」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人間の血筋ちすじ家筋の考えかたとは、多分は併行し、且つ互いに助け合って、この稲作民族の間にも成長してきたことは、いわゆる新嘗儀礼の民間の例からでも、証明し得られると私は信じている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「私は大物主神おおものぬしのかみのお血筋ちすじをひいた、建甕槌命たけみかづちのみことと申します者の子でございます」とお答えいたしました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
二人ふたりなかはとてもこまやかで、わかれるなどはさらになかったのでございますが、そのころなによりも血筋ちすじおもんずる時代じだいでございましたから、お婿むこさんは無理むり無理むり、あたかも生木なまきくようにして
ですから天皇がおかくれになると、おあとをおぎになるお方がいらっしゃらないので、みんなはたいそう当惑とうわくして、これまでのどの天皇かのお血筋ちすじの方をいっしょうけんめいにおさがし申しました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)