芋畑いもばたけ)” の例文
目はその間も額縁がくぶちに入れた机の上の玉葱たまねぎだの、繃帯ほうたいをした少女の顔だの、芋畑いもばたけの向うにつらなった監獄かんごくの壁だのを眺めながら。……
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
同月どうげつ二十三にちにはげんぼうほか玄川子げんせんしくはへて四にんつた。今度こんどは、小徑こみち左方さはう緩斜面くわんしやめん芋畑いもばたけである。
秀吉は、尾張中村の芋畑いもばたけを回想していた。半兵衛は初めて世の不思議を感じた菩提山ぼだいさんの月を思い出していた。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうは、この四、五にち、ほかのほうにいそがしくて、芋畑いもばたけへいってみませんでした。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
住持じゅうじといっても木綿もめん法衣ころもたすきを掛けて芋畑いもばたけ麦畑で肥柄杓こえびしゃくを振廻すような気の置けないやつ、それとその弟子の二歳坊主にさいぼうずがおるきりだから、日に二十銭か三十銭も出したら寺へ泊めてもくれるだろう。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)