能楽のうがく)” の例文
旧字:能樂
能楽のうがくには舞というものが附物つきものである。悲惨な人生を描いたものであっても、その悲惨に終った主人公が必ず(多く)舞を舞う。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ことに能楽のうがくのしっとりと落ちついたゆるやかさのなかに、象徴的な複雑さを含んだ緊張しきった動作どうさのあるのに、むしろ驚異の感を抱かれたのでした。
遠征軍の将士を慰労するために、尾山城では、茶会や能楽のうがくが催され、秀吉もまた他愛なく、遊びくらした。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
坂の中段から紅葉館の下に当たる辺に導かれた広い道の奥からは、能楽のうがくのはやしの音がゆかしげにもれて来た。二人は能楽堂での能の催しが終わりに近づいているのを知った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
六十余州よしう往来わうらいする魔物まもの風流ふうりうおもふべく、はたこれあるがために、闇川橋やみがはばしのあたり、やまそびえ、はなふかく、みちゆうに、みづはや風情ふぜいるがごとく、能楽のうがくける、まへシテと段取だんどりにもる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)