義妹いもうと)” の例文
「で、あの、なんですの……」と、その時、寝棚レジャンカのうへにあぐらをかいて坐つてゐた、くだんの村長の義妹いもうとだと称する女が口を出した。
この人は、母の義妹いもうと、すなわち、自分には義理の叔母だ。高氏は、身内の中に、かかる人もいたかと、いまさらの如く見直した。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ある日坂本さかもとに昼火事があって、藤木さんは義妹いもうとの一人子を肩にして見物していたが、火勢が盛んなので義妹にも見せたくなって呼びにかえった。
「何なら定吉の方を貰っておもらい申したいっていうこンだで……。」と、母親は、あからんだような顔をしながら、たばこを吸い着けて義妹いもうとに渡した。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わざわざ仏蘭西フランスにいる義妹いもうとに注文して、むずかしい名のつく、すこぶる高価な織物を取寄せて、それを四五人で裁って、帯に仕立てて着てみたり何かする。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一年振りに帰って来た我家の中でこれも同じく一種の変態性慾にとらわれている処女……義妹いもうと芬氏ふんしに引っかけられて美事な背負しょい投げを一本喰わされると
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
……常子は義妹いもうとを心から愛してゐた。それは自身の結婚の経験はもう過ぎた婦人の持つ、独特の愛情だつた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
義妹いもうとの話ですけれど、義母はゝはもう知つてるさうでございますわ。別に大して問題にもしてゐない様子ですの。結局、義妹と二人つきりの生活の方が暢気のんきでいい、なんて申してますんですつて……」
荒天吉日 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
はあて? 往来で義妹いもうとの声がしたやうぢやが……。馬鹿者どもめ、つけあがりをつて、わしを同輩かなんぞのやうに思つてけつかるのぢや。
わざ/\仏蘭西ふらんすにゐる義妹いもうとに注文して、六づかしい名のつく、頗る高価な織物おりものを取寄せて、それを四五人でつて、帯に仕立てゝて見たりなにかする。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それと、義母はは義妹いもうとたちに対する父の苦衷くちゅうもある。もっと、大きな理由には、目代の山木判官とは、当然、不和になり、ひいては何かと、うるさい風聞うわさが京都へ伝わるであろう。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
T子の姉婿のGという京染悉皆屋しっかいやが、仕様のないニヤケ男の好色すけべい野郎で、婿入りをすると間もなく、義妹いもうとのT子に云い寄りはじめて、恐ろしく執拗しつこいので困っている矢先だったから
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
障子の外から、義妹いもうとの声で
荒天吉日 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
灯りが取りよせられて、戸が開かれた——と、村長は眼の前に自分の義妹いもうとの姿を見て、驚ろきのあまり、あつと呻いた。
父を同じゅうする姉以上、藤吉郎が心をつかったのは異父弟の小竹と末の義妹いもうとだった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
末の義妹いもうとは——それはもっと後のことだが、家康へとついで間もなく病死した。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから義弟の小竹こちくと、末の義妹いもうととであった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(あれは義妹いもうとではあるまいよ)
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)