義人ぎじん)” の例文
あなたはトルストイの名を其様そんなに軽いやすっぽいものに思ってお出なのでしょう乎。「吾未だ義人ぎじんすえの物乞いあるくを見し事なし」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
政治を論じたり国事を憂いたりする事も、恐らくは貧家の子弟の志すべき事ではあるまい。但し米屋酒屋の勘定を支払わないのが志士しし義人ぎじんの特権だとすれば問題は別である。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
伊那丸は、ほッとして夢心地ゆめごこちをさましたとき、ふしぎな黒装束の義人ぎじんのすがたを、はじめて落ちついてながめたのであるが、その人は月の光をしょっているので、顔はよくわからなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
然り余は信ず余の救主すくいぬしは死より復活したまいしを、義人ぎじんを殺してその人死せりと信ぜし猶太人ゆだやびとのあさはかさよ、何ぞヒマラヤ山をたたいて山くずれしと信ぜざる、余が愛するものは死せざりしなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
蘇武は義人ぎじん、自分は売国奴ばいこくどと、それほどハッキリ考えはしないけれども
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
... しんもつきみす、じんけんや』と。(三〇)左右さいう(三一)これへいせんとほつす。(三二)太公たいこういはく、『義人ぎじんなり』と。たすけてらしむ。武王ぶわうすでいんらんたひらげ、天下てんかしう(三三)そうとす。
義人ぎじんは信仰によりて生くべし。」
パウロの混乱 (新字新仮名) / 太宰治(著)
これ義人ぎじんなり」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
黒衣こくい義人ぎじん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)