罷越まかりこ)” の例文
如何どうでもましょうといって、ソレカラ私儀わたくしぎ大阪おもて緒方洪庵こうあんもとに砲術修業に罷越まかりこしたい云々うんぬんと願書を出して聞済ききずみになって、大阪に出ることになった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
(内蔵助以下一同、宵のうちに、寺中を引払い、大目附伯耆守の宅に罷越まかりこし、静かに、お沙汰を受けらるるよう)
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかるに横田家の者どもとかく異志を存する由相聞え、ついに筑前国ちくぜんのくに罷越まかりこそろ。某へは三斎公御名忠興ただおきおきの字をたまわり、沖津を興津と相改めそろよう御沙汰ごさた有之候。
興津弥五右衛門の遺書 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
乃公おれ先刻さっきからつい半間とは離れぬ処にいるんだぞ。今日は乃公が死にかけたので、只今見舞人が罷越まかりこしたのであるが、肝腎要目かなめの御当人の姿が見えないので、お母さんが探しに来たのである。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
急ぎの用事して猿島川さるしまがはまで罷越まかりこせば今晩にも私し方へ入らせられよ寶田村傳吉とお尋ねあれと互ひに苦勞くらうの折柄右と左りへわかれける斯て傳吉は畑村はたむらの占ひ者の宅へ急ぎ行き夢物語ゆめものがたりして吉凶きつきよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蒙り駿すんゑんの四ヶ國の巡見使じゆんけんしとして松平縫殿頭罷越まかりこせし處なり然ば其方共願ひの筋江戸表へ御差出に相成天下の御評定ひやうぢやうにも相成に付願書の趣き一通り御吟味ぎんみ有之により有難く存ずべしとの仰にけり扨是より一通り糺問たゞしの上藤八お節の兩人江戸表へ差立さしたてとなりたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)