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繰廣
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くりひろ
汲せんとなし其
節に此
眞向ひの
棟割長家建續けたる其中にも一
層汚く
荒果し
最小狹なる家の中に五十四五なる老人
一個障子一枚
押開き
端近ふ出物の本を
繰廣げ見てゐたりしが今長三郎が手を
新聞や
雜誌等を
繰廣げて
見たが
何も
手に
着かない、
寧そ
晝寢せんか、
市街でも
散歩せんかと、
思案とり/″\
窓に
倚つて
眺めると、
眼下に
瞰おろす子ープルス
灣、
鏡のやうな
海面に
泛んで、
出る
船