絶頂ぜっちょう)” の例文
それを発見したのは、早起きをしてがけっぷちで遊んでいた官舎かんしゃの子供たちだった。それからみんなに知れわたって、騒ぎは絶頂ぜっちょうに達した。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わたくしはうれしいやら、かなしいやら、夢中むちゅうであの両腕りょううでにひしとだきかかえたのでございます……。が、それまでがわたくしうれしさの絶頂ぜっちょうでございました。
魔法博士は、とくいの絶頂ぜっちょうです。イスのうえにそりかえって、ゆかいでたまらぬというように、笑いだすのでした。
虎の牙 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
さっき一同が甲府こうふからしてきた時に、あせをしぼって一列にけた野呂川のろがわ右岸うがんで、その胎内たいない間道かんどうをくぐり、その絶頂ぜっちょうのとりでへでようとこころみた小太郎山こたろうざんそのものの姿すがた
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
四方をきっと見てあれば、魔王岳まおうがたけ絶頂ぜっちょう
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
新吉は得意とくい絶頂ぜっちょうにいました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
絶頂ぜっちょうの城たのもしき若葉かな
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
博士のおどろきは絶頂ぜっちょうにたっした。かれはふるえる自分の指をくちびるに立てた。そしてあきらめたというようすで、ふたりをさしまねいた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
国民の不安が、もうおさえきれない程、絶頂ぜっちょうにのぼりつめたと思われた其の日の夜、東京では、JOAKから、実に意外な臨時ニュースの放送があった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
佐伯船長をはじめ、船員たちが、すっかりいらだちの絶頂ぜっちょうに達したときのことであった。舳から、暗い海面をじっとにらんでいた船員の一人が、とつぜん大ごえをあげた。
幽霊船の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その嵐のような歓呼の絶頂ぜっちょうに、わが歌姫赤星ジュリアはパッタリ舞台に倒れて虫の息となってしまった。間髪かんぱつを入れず、舞台監督の機転で、大きな緞帳どんちょうがスルスルと下りた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みんないかりの絶頂ぜっちょうにあることは、その顔色がエビガニのように赤黒くなっていることによっても知れた。かれらは、だんだんと包囲の陣をちじめて、つかれをみせている山ノ井にせまっていく。
宇宙の迷子 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういったときの博士のおどろきはどんなであろうかと、僕はそれをしゃべるよりも前から興奮の絶頂ぜっちょうにあったのだが、博士は僕の期待に反して冷然れいぜんとしていた。そしていつもの調子の声でいった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
みんな緊張きんちょう絶頂ぜっちょうにあったのだ。誰もみな——治明博士だけは例外として——聖者レザールが厳粛げんしゅくな心霊実験を始めたのだと思っていたのだ。このとき、舞台裏で、例の奇妙な楽器が鳴りだした。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでは、これまた、得意の絶頂ぜっちょうにある油蹈天学士ゆうとうてんがくしが待っていた。
僕は当惑とうわく絶頂ぜっちょうにあった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)