精霊棚しょうりょうだな)” の例文
旧字:精靈棚
真菰まこも精霊棚しょうりょうだな蓮花れんげの形をした燈籠とうろうはすの葉やほおずきなどはもちろん、珍しくもがまの穂や、べに花殻はながらなどを売る露店が
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
今日きょうしも盆の十三日なれば、精霊棚しょうりょうだな支度したくなどを致して仕舞ひ、縁側えんがわ一寸ちょっと敷物を敷き、蚊遣かやりくゆらして新三郎は
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
その晩も、小一按摩が、御当家へ、こッつりこッつりと入りまして、お帳場へ、精霊棚しょうりょうだなからぶら下りましたように。
怨霊借用 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
今日しも盆の十三日なれば精霊棚しょうりょうだな支度したくなどを致してしまい、縁側へちょっと敷物を敷き、蚊遣かやりくゆらして、新三郎は白地の浴衣ゆかたを着、深草形ふかくさがた団扇うちわを片手に蚊を払いながら
中部以西の盆の精霊棚しょうりょうだなには、この白い米の水のかわりに、はちに水を入れたものを具え、ミソハギの枝をもって供物の上にふり掛け、または墓参の往復にもこれを路上に注ぐが
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
盆が来て、みそはぎ酸漿ほおづき精霊棚しょうりょうだなを飾るころには、私は子供らの母親の位牌いはいを旅のかばんの中から取り出した。宿屋ずまいする私たちも門口かどぐちに出て、宿の人たちと一緒に麻幹おがらいた。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
箕輪のお時の家でも仏壇に精霊棚しょうりょうだなを作って、茄子なすの牛やうりの馬が供えられた。かわらけの油皿あぶらざらには燈心の灯が微かに揺らめいていた。六十ばかりの痩せた僧が仏壇の前で棚経たなぎょうを読んでいた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
精霊棚しょうりょうだなを設けて亡魂を迎える人はやはり今でもあるのである。これがある限り日本はやはり日本である。そんな事を話しながら一九三三年の銀座を歩くのであった。
試験管 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
新三郎は精霊棚しょうりょうだな準備したくができたので、縁側へ敷物を敷き、そして、蚊遣かやりいて、深草形の団扇うちわで蚊を追いながら月を見ていた。それは盆の十三日のことであった。
円朝の牡丹灯籠 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)