そう)” の例文
それに合わせて誰かゞきんのことをく。扇で拍子を取りながら唱歌をうたう。つゞいてそうのことや、和琴わごんや、琵琶びわが運び出された。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
大きい方は二行に並んですわった八人の楽女が横笛、立笛、そうしょう銅鈸どうばつ琵琶びわなどをもって、二人の踊り女の舞踊に伴奏する。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そうことは絃がゆるむわけではないが、他の楽器と合わせる時に琴柱ことじの場所が動きやすいものなのだから、初めからその心得でいなければならないが
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
机竜之助はあちらを向いて短笛たんてきもてあそぶと、それと六枚折りの屏風一重を隔てたこちらで、お銀様がそうの琴を調べます。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……お前は深夜お前の部屋で時々そうを、弾くことがあるが、よい習慣とは云われないな。……水泡みなわよ、お前はその箏を、今夜も弾こうとしたのだろうな?
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そこで保胤は是非無く御答え申上げた。斉名が文は、月の冴えたる良き夜に、やや古りたる檜皮葺ひわだぶきの家の御簾みすところどころはずれたるうちに女のそうの琴弾きすましたるように聞ゆ、と申した。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
浜子は、何処どこからか、たしなみの箏爪の袋を出した。なるほど鰹節のように黒く幅のやや細いそうの琴が持ち出されると、膝に乗せて愛撫あいぶした。毛氈の上では華やかに、もうはじまりだした。
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
主人のすべき勤めは忘れず、左大臣が礼を述べて帰り支度をしかけると、かねて今夜の引出物ひきでものに用意しておいたそうのことを持って来させたり
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
十三げんそうの音は、女御のは可憐かれんで女らしく、母の明石夫人に似たの音が深く澄んだ響きをたてたが、女王のはそれとは変わってゆるやかな気分が出て
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
そうが床の間に立てかけてある。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「あなたは此れで精一杯だと仰っしゃるが、失礼ながらあのそうのことゝ馬二匹では、まだ引出物が不足ですな」
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
演奏者のしとねが皆敷かれて、その席へ院の御秘蔵の楽器が紺錦こんにしきの袋などから出されて配られた。明石夫人は琵琶びわ、紫の女王には和琴わごん、女御はそうの十三げんである。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
この日は後宴ごえんであった。終日そのことに携わっていて源氏はからだの閑暇ひまがなかった。十三げんそうの琴の役をこの日は勤めたのである。昨日の宴よりも長閑のどかな気分に満ちていた。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そうの琴をお弾きなさい」
源氏物語:47 橋姫 (新字新仮名) / 紫式部(著)