筋斗もんどり)” の例文
不意に翼を折った飛行機のようにキリキリと二つ三つ筋斗もんどりうって、バサリと落ちて雪に撞き当ったまま、再び飛ぶ勢もなく其儘にたおれてしまうものらしい。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
つなとほつるや、筋斗もんどりち、飜然ひらりんで、つちてのひらをつくとひとしく、眞倒まつさかさまにひよい/\とくこと十餘歩じふよほにして、けろりとまる。るもの驚歎きやうたんせざるはなし。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と二度目の気合で、両の手に今まで腰をかけていた桟の板をしっかりと握り、その上体を右へひねると見れば、筋斗もんどり打ってその身体からだは桟の上へ縦一文字に舞い上りました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
車夫は驚いて、どーんと筋斗もんどりを打って溝の中へごろ/\と転がり落ちましたが、よい塩梅あんばいに車がかえりません、はずみで梶棒が前に下りたから、前桐油まえどうゆを突き破って片足踏み出すと
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
引連て大津屋方の表裏の口より上意々々と呼はりて込入こみいるいな双方さうはうより組付たり段右衞門は惡事あくじ露顯ろけんと思ふものから心得たりと筋斗もんどり打せて投つくれども捕方とりかたの者は大勢にて取圍み殊に不意を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
急な下りに向うと私達は源次郎の真似をして、立ったまま滑り下りる稽古をした、幾度か筋斗もんどり打って倒れたが、稍や慣れて来た頃には梯子谷はしごだんの落口に着いていた。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
岩の上に立った米友を下からうずを巻いて押し寄せた川越し人足、なにほどのこともない、取捉とっつかまえて一捻ひとひねりと素手すでで登って来るのをえいと突く。突かれて筋斗もんどり打って河原へ落ちる。つづいて
幾度か筋斗もんどりうって落ち込みながら、構わず登って行く、実君も同じ様にして後に続いたが、これは路でないと知って引返した時には、南日君が下から呼んでいた
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
スワとばかり大手を拡げて猟犬のように跳り懸った瞬間、鹿は一躍して偃松の茂みの中に没してしまったので、空しく虚空をつかんだ雄吉は、筋斗もんどり打ってドウと倒れた。
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
不意に足場を失った私は筋斗もんどり打ってのめり込もうとした体を、笹にしがみついて辛くも支えることを得た。余りの馬鹿らしさに独り苦笑して、這い上る拍子にふと見ると実に驚いた。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)