ちく)” の例文
「でもね、お師匠さんのちくが暫らく聞かれねぇかと思うと、へっへ、あっしやこれで食も通りませんのさ、いや、本心。へっへっへ」
助五郎余罪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
雪割草ゆきわりそうは、だれかとおもって、そのほうると、しゅろちくかげから、うすあかいほおをして、桜草さくらそうわらいながらいっているのでありました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある夜、その自動車が新宿の雜閙で止まつてゐるあひだ、ふと、横を見ると、ゼイちくやサンを机にすゑた易者たちが五、六名も店をならべて、鋪道の散歩者を呼びあつていた。
折々の記 (旧字旧仮名) / 吉川英治(著)
さるに今は名物なりし山茶花かんちくの生垣もほとほとその影を
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
孟宗ちくに孟宗軽くかぶさる里こんもりと見えて前の蓮の田
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
らんちくはさみ入れたる曇りかな
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わが窻の孟宗ちくにふる雨はややまだ寒しふみを読みつつ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)