竹刀しなひ)” の例文
申分の無い普請で、部屋の外、納戸なんどになつて居る板敷の長四疊には、めん籠手こて塗胴ぬりどうや、竹刀しなひなどが、物々しくも掛けてあるのです。
なんでも先生に学んだ一人ひとりは武徳会の大会に出、相手の小手こて竹刀しなひを入れると、余り気合ひのはげしかつた為に相手の腕を一打ちに折つてしまつたとか云ふことだつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
なし是より三人づれにて丸龜城下なる後藤半四郎の方へといたりけり又後藤方にては此日は丁度ちやうど稽古日けいこびにておほく門弟もんていあつま竹刀しなひおと懸聲かけごゑかまびしく今稽古けいこ眞最中まつさいちうなる所へ三人は玄關げんくわんかゝ案内あんない
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
激しくうちあふ竹刀しなひ眼には入れこのかしこさに面も小手もわかず
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
もつとも、この主人は強さうだ。金貸しでは鬼と言はれたが、竹刀しなひだこや面摺めんずれから見ると、隨分武藝に苦勞した人らしいな」
激しくうちあふ竹刀しなひ眼には入れこのかしこさに面も小手もわかず
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小田卷直次郎の竹刀しなひ友達やら飮友達で、足繁く出入りしてゐる、浪人の臼井金之輔、御家人南久馬、旗本の次男で三津本弦吉——などに掛けられました。
兵士つはものはうやまひあつし竹刀しなひとりお前にとうと聲とほり撃つ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「眞新しい竹刀しなひがあり、弓矢があり、隣りのお部屋には、近頃り立ての青表紙や、机の上には——」
兵士つはものはうやまひあつし竹刀しなひとりお前にとうと声とほり撃つ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
用人の足尾喜内、少し屈つた腰を延して、娘を縛つた青竹の後ろを、竹刀しなひで力任せに引叩きます。
幸ひ、吾妻屋永左衞門、若い時分町道場に通つて、竹刀しなひの振りやうくらゐは心得てゐました。
年の頃、四十二、三、面ずれも竹刀しなひだこもある立派な男で、稻葉屋の身上しんしやうのお蔭であつたにしても、僅かの間に町人達に立てられて、立派に顏のきける男になつたのも無理のないことでした。
最初にお弓町に住んで竹刀しなひを削つてゐる浪人者の織部鐵之助。
平次は竹刀しなひを取つて立ち上りました。