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窖
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あな
ふりがな文庫
“
窖
(
あな
)” の例文
当夜一度に二、三人ずつ女を
窖
(
あな
)
の
中
(
うち
)
に下すと、蛇神の名代たる二、三蛇
俟
(
ま
)
ちおり、
女巫
(
みこ
)
が廟の
周
(
ぐる
)
りを歌い踊り廻る間にこれと婚す。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
今彼の読んでいるのは、フランツ・カフカという男の「
窖
(
あな
)
」という小説である。小説とはいったが、しかし、何という奇妙な小説であろう。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
さうして
二人
(
ふたり
)
が
默
(
だま
)
つて
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
つてゐると、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか、
自分達
(
じぶんたち
)
は
自分達
(
じぶんたち
)
の
拵
(
こしら
)
えた
過去
(
くわこ
)
といふ
暗
(
くら
)
い
大
(
おほ
)
きな
窖
(
あな
)
の
中
(
なか
)
に
落
(
お
)
ちてゐる。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
山越しに木曾路へ出て、汽車に乗るとすれば、トンネル又トンネルがあつて、この温気に、土竜のやうに、暗の
窖
(
あな
)
を這ひ、石炭の粉の雨を浴びなければならない。
天竜川
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
人足は夕食にその握り飯を一つもらうと、明け方までは、義務として、残業労働を、再びその
窖
(
あな
)
の中で、「あの世」の人のごとくに続けねばならないのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
▼ もっと見る
二階堂谷の
窖
(
あな
)
——といふのはこゝであつたのか! 私は少青年時代に愛讀して手離さなかつた日本外史の、その章を咄嗟に思ひ出して、不意に感動に襲はれて、頭の中がジーンと痺れるのを覺えた。
滑川畔にて
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
『阿育王譬喩経』には大長者が
窖
(
あな
)
に穀千斛を蔵し、後これを出すに穀はなくて三歳ばかりの一小児あり、言語せぬ故何やら分らず。大道辺に置いて行人に尋ぬれど
識
(
し
)
る者なし。
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
たちまち
窖
(
あな
)
も首斬りもカンテラも一度に消えて余はボーシャン塔の
真中
(
まんなか
)
に
茫然
(
ぼうぜん
)
と
佇
(
たたず
)
んでいる。ふと気がついて見ると
傍
(
そば
)
に
先刻
(
さっき
)
鴉
(
からす
)
に
麺麭
(
パン
)
をやりたいと云った男の子が立っている。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
細君はようやく気がついて口を
噤
(
つぐ
)
んでしまう。そうして二人が黙って向き合っていると、いつの間にか、自分達は自分達の
拵
(
こしら
)
えた、過去という暗い大きな
窖
(
あな
)
の中に落ちている。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
窖
漢検1級
部首:⽳
12画
“窖”を含む語句
土窖
地窖
暗窖
窖中
窖蔵
石窖
地下窖
墓窖
酒窖
大窖
穹窖
空窖
反対窖道
窖住
窖内
窖室
窖廩
窖番
窖道
窖養