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空裏
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くうり
ふりがな文庫
“
空裏
(
くうり
)” の例文
今かりに大弾丸の
空裏
(
くうり
)
を飛ぶ様を写すとする。するとこれを見る
方
(
ほう
)
に二通りある。一は単に感覚的で、第一に述べたような場合に属する。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
沙翁
(
さおう
)
は指輪を種に幾多の
波瀾
(
はらん
)
を描いた。若い男と若い女を目に見えぬ
空裏
(
くうり
)
に
繋
(
つな
)
ぐものは恋である。恋をそのまま手にとらすものは指輪である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しんしんとして、
木蓮
(
もくれん
)
は
幾朶
(
いくだ
)
の
雲華
(
うんげ
)
を
空裏
(
くうり
)
に
擎
(
ささ
)
げている。
泬寥
(
けつりょう
)
たる
春夜
(
しゅんや
)
の
真中
(
まなか
)
に、和尚ははたと
掌
(
たなごころ
)
を
拍
(
う
)
つ。声は
風中
(
ふうちゅう
)
に死して一羽の鳩も下りぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ
漫然
(
まんぜん
)
として
空裏
(
くうり
)
に
飛揚
(
ひよう
)
する愛であった。したがってお延の努力は、風船玉のようなお秀の話を、まず下へ引き
摺
(
ず
)
りおろさなければならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
大患に
罹
(
かか
)
って生か死かと騒がれる余に、幾日かの怪しき時間は、生とも死とも片づかぬ
空裏
(
くうり
)
に過ぎた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
余は
石甃
(
いしだたみ
)
の上に立って、このおとなしい花が
累々
(
るいるい
)
とどこまでも
空裏
(
くうり
)
に
蔓
(
はびこ
)
る
様
(
さま
)
を見上げて、しばらく
茫然
(
ぼうぜん
)
としていた。眼に落つるのは花ばかりである。葉は一枚もない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
怒
(
いかり
)
の中心より
画
(
えが
)
き去る円は飛ぶがごとくに
速
(
すみや
)
かに、恋の中心より振り
来
(
きた
)
る円周は
燄
(
ほのお
)
の
痕
(
あと
)
を
空裏
(
くうり
)
に焼く。あるものは道義の糸を引いて動き、あるものは
奸譎
(
かんきつ
)
の
圜
(
かん
)
をほのめかして
回
(
めぐ
)
る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
裏
常用漢字
小6
部首:⾐
13画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手