礎石そせき)” の例文
またべつ先生方せんせいがたからおきになる場合ばあひがありませう。なほふるいおてらのあつたところには、かはらのほかにおほきなはしら礎石そせきのこつてゐることもあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
月光はすべての森や林を神秘の色に染めている。彼は遂に道の消えた処まで歩いて来た。其処には大きな礎石そせきがあった。古い大きな建物のあった跡であった。
薔薇と巫女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
将軍の身も案じられたが、より以上、折角、自分のすえた一礎石そせきが、中原ちゅうげんからむなしくなることをおそれた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁度ちょうど本堂仏殿のありそうな位置のところに礎石そせき幾箇いくつともなく見えて、親切な雨が降るたびに訪問するのであろう今もその訪問に接して感謝のうれし涙をあふらせているように
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
礎石そせき。『エディ・ホテル』ノ礎石ナリとあるよ。こればかりは、所在がはっきりしているではないか。礎石といえば、石造建物せきぞうたてもののホテルの一等下のかどにある石のことじゃないか。
彼の音楽は理知的で、対位法的で、近代音楽の形の上に確固たる礎石そせきを与えたばかりでなく、音楽に内面的なものを与え、ドイツ魂の裏づけをした最初の人でもあったのである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
いて江戸文学の礎石そせきの一つとなったものである。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
むかしからある、しろもんの四かくおおきい礎石そせきは、ひかりびてしろかわいていました。くさ土手どてうえにしげっていました。そして、小鳥ことり四辺あたり木々きぎのこずえにまってないていました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)