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睥
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にら
ふりがな文庫
“
睥
(
にら
)” の例文
他家へ牛蒡種の女が縁付いて、夫を
睥
(
にら
)
むとたちまち病むから、閉口してその妻の尻に敷かれ続くというが、てっきり西洋の妖巫に当る。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
自分は、
餌
(
え
)
をやらないから、とうとう死んでしまったと云いながら、下女の顔を
睥
(
にら
)
めつけた。下女はそれでも黙っている。
文鳥
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岸本は地団駄を踏んで、吸取紙を横
睥
(
にら
)
みに睨んで、おかみの呼ぶ声に気を取られながら、腹立たしそうに呟いた。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
髪を長く伸し短い鬚を
生
(
は
)
やして、
下目勝
(
しためが
)
ちに物を
睥
(
にら
)
むような癖のあるその年若い医学士に、彼は急に感謝したくなった。そして種々な細かい注意事項を尋ねた。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
一ツ残りし耳までも
扯断
(
ちぎ
)
らむばかりに猛風の呼吸さへ為せず吹きかくるに、思はず一足退きしが屈せず奮つて立出でつ、欄を
握
(
つか
)
むで屹と
睥
(
にら
)
めば
天
(
そら
)
は
五月
(
さつき
)
の闇より黒く
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
大兄は卑弥呼を揺って
睥
(
にら
)
まえた。が彼女は微笑しながら静に大兄の顔を見上て黙っていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
しかし博士はうつむきかげんに床を
睥
(
にら
)
んで、靴で床を蹴りながら言いつづけた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
こちらを
睥
(
にら
)
んだりする。
曲者
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
勘次は秋三を一寸
睥
(
にら
)
んだが、また黙って霜解けの湿った路の上へ筵を敷いて上から踏んだ。
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
釘
(
くぎ
)
をさしつつ恐ろしく
睥
(
にら
)
みて後は物云わず、やがてたちまち立ち上って、ああとんでもないことを忘れた、十兵衛殿ゆるりと遊んでいてくれ、我は帰らねばならぬこと思い出した
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
白くなりかけた髪の毛と赤黝い額と低い鼻とが一緒になって、その中から小さい鋭い眼が
睥
(
にら
)
んでいた。壮助はそれらを一目に見て取った。そして全身にぞーっと冷水を浴びたような気がした。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
普通に邪視を以て
睥
(
にら
)
み詰めると、虫や鳥などが精神
恍惚
(
とぼけ
)
て逃ぐる能わず、蛇に近づき来り、もしくは蛇に自在に近づかれて、その口に入るをいうので、鰻が蛇に睥まれて、頭を蛇の方へ向け
游
(
およ
)
ぎ
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
蕎麦屋
(
そばや
)
の小僧が頭に
器物
(
うつわもの
)
を載せて彼の方へ来た。彼はその器物を突き落とそうとして
睥
(
にら
)
みながら小僧の方へ詰め寄っている自分を感じた。小僧は
眼脂
(
めやに
)
をつけた眼で笑いながら
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
欄を
握
(
つか
)
んできっと
睥
(
にら
)
めば
天
(
そら
)
は
五月
(
さつき
)
の
闇
(
やみ
)
より黒く、ただ
囂々
(
ごうごう
)
たる風の音のみ宇宙に
充
(
み
)
ちて物騒がしく、さしも堅固の塔なれど虚空に高く
聳
(
そび
)
えたれば、どうどうどっと風の来るたびゆらめき動きて
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
壮助は唇をかみしめ乍ら、室の隅をじっと
睥
(
にら
)
んだ。其処には高利貸の古谷の顔が浮んでいた。幾度も執拗にやって来ては僅かの彼の俸給をさえ押えると云って脅かすそのでぶでぶと脂ぎった顔が。
生あらば
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
子は口を
尖
(
と
)
がらせて母の手の指を
咬
(
か
)
んだ。母は「痛ッ」といって手を引っこめた、そして
些
(
ちょ
)
っと
指頭
(
ゆびさき
)
を眺めてから「まアこの子ったら。」といった。子は黙って母を
睥
(
にら
)
んでいた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
長羅は宿禰を
睥
(
にら
)
んで肉迫した。
忽
(
たちま
)
ち広間の中の人々は、宿禰と長羅の二派に分れて争った。見る間に手と足と、
角髪
(
みずら
)
を解いた数個の首とが
斬
(
き
)
り
落
(
おと
)
された。燈油の皿は投げられた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
訶和郎は垂れ下ったまま蜜柑の枝に足を突っ張って、遠くへ
荷負
(
にな
)
われてゆく卑弥呼の姿を
睥
(
にら
)
んでいた。兵士たちの松明は、谷間から煙のように流れて来た夜霧の中を揺れていった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
暫くすると、人々に腕を持たれた秋三は勘次を
睥
(
にら
)
み乍ら、裸体の肩口を押し出して
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と
睥
(
にら
)
んだ。彼の着物の胸から腹へかけて鑵詰の汁が
飛白
(
かすり
)
の白い部分を汚していた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
無いかを
睥
(
にら
)
んだ静けさで、ひっそりと戸を閉めつづけている無気味さだ。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「こいつ、どうしたらええ奴やろ!」とお霜は秋三を
睥
(
にら
)
んで云った。
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
「馬鹿。」と末雄は笑いながら
睥
(
にら
)
んだ。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
睥
漢検1級
部首:⽬
13画
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睥睨
睥目
顧睥