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眷顧
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けんこ
ふりがな文庫
“
眷顧
(
けんこ
)” の例文
ここにあえて声明するゆえんのものは、ただ友人諸君の平素の
眷顧
(
けんこ
)
にそむかざらんことと諒解をこいねがうためとであります。
今後を童話作家に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
部将はこの度胸を賞でゝ、それから
眷顧
(
けんこ
)
を深くしたという。太兵衛はこの調子で衰運に
瀕
(
ひん
)
していた池上の家を立直したのみか、今日の基礎を作った。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
高時は「佐々木のような者こそ御家人の鑑ぞ」と、大いに
愛
(
め
)
でて、“
道誉
(
どうよ
)
”という法名までつけてくれた。——それからの彼への
眷顧
(
けんこ
)
はまた格別だった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
実隆が幕府の
眷顧
(
けんこ
)
を得たのも主として文筆の功徳であって、文亀三年に実隆新作の能「狭衣」の曲が室町殿において演ぜられ、実隆がわざわざ見物に招かれたなども
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
筆者は此のことで、日頃
眷顧
(
けんこ
)
を
蒙
(
こうむ
)
っている天台宗の某
碩学
(
せきがく
)
などにも尋ね、参考書なども貸して戴いたのであるが、調べ出すといよ/\
深奥
(
しんおう
)
で分りにくゝなるばかりである。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
しかし
止利仏師
(
とりぶっし
)
におけるごとく、有名な芸術家が特に帝王の
眷顧
(
けんこ
)
をうけた例もないではない。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
一、世に誉れ高くまします父君の治世久しく多福を
膺受
(
ようじゅ
)
し給いしを
眷顧
(
けんこ
)
せる神徳によりて、殿下もまた多福を受け、大日本に永世
疆
(
かぎ
)
り無き天幸を得て、
静謐
(
せいひつ
)
敦睦
(
とんぼく
)
ならん事を祈る。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
下等な書生のうちには猫を食うような野蛮人がある
由
(
よし
)
はかねて伝聞したが、吾輩が平生
眷顧
(
けんこ
)
を
辱
(
かたじけの
)
うする多々良君その人もまたこの同類ならんとは今が今まで夢にも知らなかった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もと
英照皇太后
(
えいしょうこうたいこう
)
宮にお仕えした方で、山県公の
眷顧
(
けんこ
)
を受けられ、その詠み口がお気に入っていたと聞きました。後に和装の立派な歌集なども出たようでした。
椿山荘
(
ちんざんそう
)
の七勝の歌などもあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
妾の
眷顧
(
けんこ
)
を得んとて、
私
(
ひそ
)
かに食物菓子などを贈るという有様なれば、獄中の生活はなかなか不自由がちの
娑婆
(
しゃば
)
に
優
(
まさ
)
る事数等にて、裁判の事など少しも心に
懸
(
かか
)
らず、覚えずまたも一年ばかりを暮せしが
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
かれは文学の素養もあって、その当時の海軍大尉小笠原長生
子
(
し
)
の
眷顧
(
けんこ
)
をうけ、その紹介で『
木枯
(
こがらし
)
』という小説の単行本を春陽堂から出版したこともあった。かれは書画にも巧みであったと聞いている。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
単己
(
たんこ
)
頼るなきものを寄宿せしめ日々
眷顧
(
けんこ
)
して飢餲を救うを業とした悲田院などが付属する。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
なるべく通俗的に引き直して
佳人淑女
(
かじんしゅくじょ
)
の
眷顧
(
けんこ
)
に
背
(
そむ
)
かざらん事を期する訳でありますが、これからは少々力学上の問題に立ち入りますので、
勢
(
いきおい
)
御婦人方には御分りにくいかも知れません
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「臣の弟孔明は、陛下に仕えて、久しく蜀にあります。故に、余人より幾分か、陛下のご
眷顧
(
けんこ
)
も仰がれようかと、主人孫権が、特に不肖を使いとなして、呉の
衷心
(
ちゅうしん
)
を申しあげる次第でございます」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“眷顧”の意味
《名詞》
眷顧(けんこ)
ひいき。愛顧。顧眷。
(出典:Wiktionary)
眷
漢検1級
部首:⽬
11画
顧
常用漢字
中学
部首:⾴
21画
“眷”で始まる語句
眷族
眷属
眷屬
眷恋
眷々
眷遇
眷
眷願
眷愛
眷慕